永劫回帰に横たわる虚無 三島由紀夫生誕100年=昭和100年 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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今年2025年は、昭和100年であり、

日本が誇る文豪・三島由紀夫の生誕100年でもあり。

それを記念して現在、表参道のGYRE GALLERYでは、

“永劫回帰に横たわる虚無 三島由紀夫生誕100年=昭和100年が開催されています。

 

 

 

本展の冒頭で紹介されていたのは、

森万里子さんが近年制作している「Unity」シリーズの新作。

 

 

 

昨年、SCAI THE BATHHOUSEにて、

初めて発表された「Unity」シリーズは、

『古事記』にインスピレーションを受けたものでしたが。

本展で発表されていたのは、三島由紀夫の最後の長編小説、

『豊饒の海』の第1巻『春の雪』をもとに制作したものなのだそうです。

主人公である清顕と聡子の魂の在り方や変化を表現しているとのこと。

言われてみれば、オーラのように見えてきました。

美輪さんや江原さんが観ている世界は、こんな感じなのかもしれません。

 

続いて紹介されていたのも、『春の雪』に関するもので、

カナダを代表する現代アーティスト、ジェフ・ウォールの写真作品です。

その名も、《三島由紀夫 作『春の雪』第三十四章より》

 

 

 

聡子が清顕と鎌倉の砂浜で密会したあと、

帰りの車内で靴の中の砂を床に落とす場面があるそうで。

そのシーンを写真で再現したのが、この作品です。

写真であるにも関わらず、前後の情景が浮かんでくるといいましょうか。

まるでショートムービーを観ているかのような、不思議な感覚に陥りました。

 

 

さて、このように本展では、三島由紀夫にインスパイアされ、

現代アーティストたちが制作した作品の数々が紹介されています。

参加作家は、計8人。

森万里子さんとジェフ・ウォールの作品以外では、

作曲家で美術家の池田謙さんによるサウンドアートや、

三島のデビュー作『仮面の告白』をもとにした友沢こたおさんの新作も。

 

 


さらには、杉本博司さんの撮り下ろしの「海景」シリーズや、

実は三島の熱心な愛読者だというアニッシュ・カプーアの作品もありました。

 

 

 

そんな本展の出展作品の中で、

もっとも三島らしさを感じられたのは、

意外にも、現代アーティストによる作品ではなく。

小説家の平野啓一郎さんによる作品でした。

 

 

 

2023年に刊行された平野さんの著書『三島由紀夫論』。

そこにいくつもの鉄の棒やプリズムが貫通しています。

三島は若き日に、聖セバスティアヌスの絵を、

画集で目にして、初めてエクスタシーを感じたそうで。

篠山紀信が撮影した三島の写真の中にも、

聖セバスティアヌスに扮したものがあるほど。

おそらく、そのイメージが投影された作品なのでしょう。

(聖セバステティアヌスを知りたい方はこちらをどうぞ→https://ameblo.mom/artony/entry-11974729126.html

 

それからもう1点。

本展の出展作品で印象的だったのは、

参加作家では唯一の物故作家、中西夏之による《着陸と着水》です。

 

 

 

「着陸と着水」は、中西が90年代から晩年にかけて長年取り組んでいたシリーズ。

実は、『豊饒の海』の最終巻『天人五衰』のラストの、

とあるセリフに惹きつけられ、それを再現しようと構想されたシリーズなのだそう。

キャプションではそのセリフが引用されており、

その言葉を通して作品を観ると、ストンと落ちるものがありました。

そういう意味では、セリフの引用はありがたかったのですが。

『豊饒の海』の最重要シーンと思われるので、

ネタバレされてしまった感は否めませんでした。

冒頭の『春の雪』に関する2作品を観て、

『豊饒の海』を読んでみたくなっていたのですが、

ラストにそんなシーンが待ち受けているだなんて。。。

全4巻を読む気が一気に萎んでしまいました(笑)

星

 

 

 

 

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