日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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先日は、水戸芸術館に行ってきました。

久しぶりに訪れたら、中庭に何やらオブジェが設置されていました。

 

 

 

こちらは、東京藝術大学の学長にして、

岐阜県美術館と熊本市現代美術館の館長にして、

現代美術家の日比野克彦さんによる《種は船、明後日丸》

朝顔の種の形をした船の作品のうちの一つです。

 

また、パイプオルガンが象徴的なエントランスホールには・・・・・

 

 

 

1992年に開催された、パリから北京までを車で走るラリーで、

実際に使用された日比野克彦さんペインティングのラリーカーが設置されていました。

 

そう、今、水戸芸術館では、日比野克彦祭り・・・否、

“日比野克彦 ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまでが開催中。

日比野さんの60年にも及ぶ芸術家人生を、

660点以上の作品(!)で辿る大規模展覧会です。


 

 

会場に入るとまず目に飛び込んできたのは、

日比野さん自筆による《わたしが絵を描くわけ》という作品。

0歳の頃の記憶にある記憶について書かれていました。

 

 

 

本展では、こちらの冒頭の作品以外にも、

日比野さんの手書き文字が特徴的な作品の数々が紹介されています。

 

 

 

日比野さんは、線についてとりわけ関心を持っているのだそう。

彼にとって、「線を描くこと」と「字を書くこと」は同義の行為。

それゆえ、日比野さんの作品には多くの手書き文字が登場するようです。

 

ちなみに。

「線を描くこと」について探求した作品で特にインパクトが強かったのが、

《π=CRTdrawing LAND→SEA》《π=CRTdrawing SEA→LAND》という作品。

 

 

 

ともに2011年に三宅島の海岸で制作された作品で、

100mのロール紙を陸から海に広げ、線を描いたものです。

海中ではウェットスーツを着用し、酸素ボンベを背負った状態で線を描いたのだそう。

そんな状態のうえに、波で紙は揺れるわけで、当然思い通りには線を描けません。

現代アートに「なぜ?」と聞くのが野暮なのは重々承知していますが、

この作品に関しては、「なぜそんなことしたし?」と聞かずにはいられませんでした(笑)

 

 

また、「線を描くこと」と同じくらいに、

日比野さんのアート活動で大事にしているのが、「誰かとつながること」。

彼はこれまでに日本各地で、地域を巻き込むアートプロジェクトを数多く展開してきました。

 

 

 

展覧会では、その原点となる出来事が日比野さんの直筆で紹介されています。

 

 

 

なるほど。だから、本展のタイトルが、

“ひとり橋の上に立ってから、だれかと舟で繰り出すまで”だったのですね。

なお、会場では、そんな日比野さんにとって、

重要な「橋」をモチーフにした作品もありました。

 

 

 

日比野さん自身が作った巨大な橋の他に、

展示室内にはさまざまなタイプの橋が設置されています。

実はこれらは、来館者によって作られたもの。

 

 

 

日比野さんにとって、“ひとり”の象徴だった「橋」が、

この作品を通じて、彼と誰かを繋げる架け橋となっていたわけで。

そう考えると、なんだかエモかったです。

星

 

 

さてさて、展覧会の終盤では、

日比野さんのこれまでの活動を振り返る年表が設置されています。

もちろん、日比野さんによる手書き文字も随所にありました。

 

 

 

その年表の中には、『ミュージアムの女』でお馴染み、

岐阜県美術館の監視員で漫画家の宇佐江みつこさんによる書き下ろし漫画も!

『ミュージアムの女』ファンは必見です。

 

 

 

ちなみに。

日比野さんの年表の中で、個人的にツボだったのは、

ニューヨークを訪れた際の若き日の日比野さんの姿です。

 

 

 

ヒップホッパーみたいな恰好をしていました。

ブレイクダンスが得意そう。

一瞬だけ、年表に久保田利伸が登場したのかと思いました。

 

そんな“ヒップホッパー”日比野さんは、

展覧会のラストにも不意打ちのように登場します。

 

 

 

展覧会でいろんなものを目にしたはずなのですが、

最終的には、この姿ですべてが上書きされてしまいました(笑)。

 

 

 

 

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