絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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現在、静嘉堂文庫美術館で開催されているのは、

“絵画入門 よくわかる神仏と人物のフシギ”という展覧会。

 

 

 

花鳥画や風景画、動物画など、数ある日本画のジャンルの中で、

あまり人気がない(※)神仏や人物を描いた画にスポットを当てた展覧会です。

(※個人の感想です)

なぜ、神仏や人物を描いた画に人気がないのでしょうか。

それは、他のジャンルと比べて、パッと見て楽しめないことにあります。

どういう神様や仏様が描かれているのか?

誰が描かれているのか?

そういった下知識が少なからず必要となります。

しかし、“入門編”と銘打たれた本展なら、

そういった下知識がまったくなくても大丈夫!

 

 

 

分かりやすい言葉で書かれたキャプションや、

パネルが会場のいたるとこに設置されています。

さらに、見どころを解説すべく、本展のためのオリジナルキャラも爆誕!

 

 

 

「聖徳太子くん」と「霊照女ちゃん」が、

出展作品の見どころをナビゲートしてくれます。

個人的な意見としては、キャラとしては可愛らしくてイイのですが、

名前がストレートなので、もう少し愛称っぽくしたほうがいいような気がしました。

例えば、「しょーとくん」と「れいーにょ」とか?

 

 

と、それはさておきまして。

入門編と銘打っているので、

もちろん日本美術ビギナーの皆さまにオススメですが、

実は本展は、日本美術フリークの皆さまにも、オススメです。

というのも、入門編ながらも、出展作品は日本美術の一級品ばかり。

国宝の《禅機図断簡 智常禅師図》を筆頭に、

 

国宝 因陀羅筆、楚石梵琦題詩《禅機図断簡 智常禅師図》 元時代 14世紀(前期展示)

 

 

重要文化財の《羅漢図冊》

 

重要文化財 雪庵《羅漢図冊》 元時代 14世紀(前期展示)

 

 

ほぼ初公開となる狩野探幽の《二十八祖像》などなど、

 

狩野探幽《二十八祖像》 江戸時代 17世紀(前期展示)

 

 

名品や逸品が多数取り揃えられています。

8月13日からの後期には、重要文化財の《駒競行幸絵巻》や、

本展のメインビジュアルにも採用された重要美術品の《春日宮曼茶羅》などが出展予定!

静嘉堂コレクションにおける神仏や人物を描いた画の入門編にして決定版ともいう展覧会です。

星星

 

 

さて、ここからは出展作品の中で、

特に印象に残ったものをいくつかご紹介。

まずは、《王右軍換鵞図》という作品から。

 

馬元欽《王右軍換鵞図》 清時代 康煕元年(1662)(前期展示)

 

 

王右軍とは、「書聖」と崇められる王羲之のこと。

王羲之は、幼い頃からガチョウが大好きだったそう。

ある道士が飼っているガチョウを、

どうしても欲しくなってしまった王羲之は、

是非譲ってほしいと彼に頼み込みました。

道士はその男性が王羲之であることに気づき、

「老子の『道徳経』を書いてくれたらいいですよ」というと、

王羲之は喜んで引き受け、1巻まるまる書写したそうです。

どんだけガチョウが好きなんだよ!

自分の書の腕を安売りするなよ!

いろいろとツッコミどころの多い作品でした。

 

続いて印象的だったのは、こちらの重要文化財の《寒山図》

 

重要文化財 虎巌浄伏賛《寒山図》 元時代 13~14世紀(前期展示)

 

 

これまでいろんな画家によって描かれた、

いろんなタイプの《寒山図》を観てきましたが、

歴代でも5本の指に入るくらいの不気味さでした。

 

 

 

殺人ピエロ的な怖さ。

『IT/イット』に登場するペニーワイズのようでした。

 

なお、怖いと言えば、それ以上に怖かったのが、《綱敷天神像》です。

 

江北元忠《綱敷天神像》 室町時代 16世紀(前期展示)

 

 

天神とは、もちろん菅原道真のこと。

政敵の藤原時平によるデマのせいで、

道真が大宰府へと左遷された際、途中の港で停泊することになりました。

しかし、円座の用意がなく、漁師達が急遽、

船を岸などに繋ぎ止める綱をグルグル巻いて代わりにしました。

漁師たちの好意には感謝しつつも、

時平に対し溜まりに溜まった怒りが、ちょうどそのタイミングで爆発したのでしょう。

めっちゃブチギレています。

 

 

 

「何で俺がこんなのに座らなあかんねん!しばくぞおら!」とでも言いたげな表情。

この時代に、アンガーマネジメントがあれば。

学問の神様ならきっと学んでいたでしょうに。

 

 

 ┃会期:2025年7月5日(土)~9月23日(火・祝)

 ┃会場:静嘉堂文庫美術館

 ┃https://www.seikado.or.jp/exhibition/current_exhibition/

 

 

 

 

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