現在、生活工房ギャラリーで開催されているのは、
“ヘアカラー展 なぜ染める、なぜ染まる。”という展覧会。
ヘアカラー文化をテーマにした展覧会です。
白髪家系に生まれたため、30歳になる前から、
白髪を目立たせないために、髪を染めているのですが、
今日の今日まで、ヘアカラーについて考えたことはありませんでした。
そういえば、いつから人は髪を染めるようになったのでしょう?
その歴史はかなり古く、紀元前3500年の古代エジプトで、
一種の魔除けも兼ね、ヘナで髪を赤橙色に染めていたと考えられているそうです。
また、古代アッシリア人が、ヘナで白髪染めをしていたという記録も残っているとか。
日本の歴史において初めて髪を黒く染めたのは、
平安時代末期の武将・斎藤実盛なる人物とのこと。
木曾義仲を追討するため、70歳を超えて出陣した彼は、
白髪頭では情けをかけられ、真剣勝負が叶わないかもと考え、
髪や髭を黒く染めてから、闘いに挑んだのだそうです。
余談ですが、日本で初めて髪を脱色したとされるのは、
日本における美容師の先駆者の一人とされる山野愛子だそう。
昭和26年に、アメリカからトップの毛束を脱色した姿で帰国したそうです。
と、話を戻しまして。
平安時代中頃に書かれた日本最古の医学書『医心方』には、
白髪染めや髪に光沢を与えるなどのヘアケアの処方が数多く記されているそう。
江戸時代後期には、白髪を隠す製品として、
「黒油」や「黒鬢付」なるものが一般的だったようです。
その中でも特に有名だったのが、
広重の「東海道五十三次」にも登場する・・・・・
美玄香(びげんこう)。
「今ならば実盛も買ふ美玄香」という、
キャッチコピーで知られていたそうです。
さてさて、美玄香と聞いて。
「あ、だからビゲンなんだ!」
と思った方もいらっしゃることでしょう。
残念ながら、美玄香とビゲンは関係ありません。
ビゲンを販売するヘアカラー業界の国内最大手ホーユー。
その前身となる水野甘苦堂が大正10年に販売し、
以来、70年続く大ヒット商品になったのが、白髪染めの「元禄」でした。
「元禄」の「元」に、「美人」の「美」を併せて、ビゲンなのだそうです。
ちなみに。
本展で展示されている展示品の多くは、
2023年に創立100周年を迎えたホーユーが、
地元の名古屋に設立したホーユーヘアカラーミュージアムの所蔵品。
明治から昭和にかけての貴重な染色剤や、
その看板や広告などの資料を所蔵しているそうです。
なお、展示された数ある染色剤の中で、
もっとも歴史があるのは、「白毛赤毛染 千代ぬれ羽」。
明治40年に発売された日本初の国内初の酸化染毛剤です。
髪に塗った後、風に当てて乾かし、
12時間が過ぎてから洗い流す必要があったそう。
さすがに長すぎるということで、その3年後に別のメーカーから販売された、
染色時間がたった20~30分という画期的な白髪染めに人気の座を奪われました。
その白髪染めの名前は・・・・・
ナイス。
ネーミングセンスもナイスです。
他にも、「黒揚羽」や「ぬれつばめ」、「伊達姿」など、
ネーミングセンスが独特の染色剤が多々ありましたが、
個人的にお気に入りなのは、「ビーナス牛若」。
ビーナスと牛若(丸)。
決して交わることのない2人が、
なぜか白髪染の名前で共演を果たしていました。
ビーナス牛若。
字面だけ見ると、白髪染の名前というよりも、
売れないお笑いコンビ名みたいにも感じられます。
知ってるようで意外と知らないヘアカラー。
その歴史や文化、メカニズムを知ることのできる貴重な機会でした。

懐かしいアイテムにもいろいろ出逢えましたし。













