現在、菊池寛実記念 智美術館では、
色絵磁器の人間国宝に認定された藤本能道の個展、
“鳥々 藤本能道の色絵磁器”が開催されています。
智美術館での藤本能道展は、これで6年ぶり5回目。
高校野球でいえば(←?)、仙台育英や中京大中京くらいの常連ぶりです。
なぜ、智美術館でそれほどまでに、
藤本能道展がリピ開催されるのでしょうか。
それは、智美術館の設立者で現代陶芸のコレクターであった菊池智と、
藤本能道が、もっとも関係性の深い陶芸家だったからに他なりません。
(↑下世話な意味でなく!)
1974年に菊池智がホテル・ニューオータニのロビー階に開いた、
現代陶芸ギャラリー「寛土里」のオープニング展に抜擢されたのが、藤本能道でした。
また、藤本能道の人生最後の個展“陶火窯焔”は、
智美術館の前身にあたる菊池ゲストハウスで開催されています。
さらに、1976年に昭和天皇皇后両陛下が、
菊池家の施設に宿泊されることになった際に、
そのおもてなしのため、智は藤本に晩餐用のテーブルセットをフルオーダーしたそう。
ちなみに。
製作期間は、およそ2年。
藤本は試作を何度も重ねたそうで、
最終的に廃棄した試作品は、700点を超えていたとか。
なお、1点1点デザインが異なった、
総数230ピースからなるこの藤本渾身のテーブルセットは、
その晩餐の一夜のみでしか使われていないそう。
それゆえ、菊池家では「幻の食器」と呼ばれているそうです。
・・・・・と、そのような長年の2人の関係性もあって、
智美術館のコレクションの中で最も重要な位置を藤本作品が占めています。
藤本が青梅市に窯を構え始めた頃から、
最晩年の作品までを取り揃えた藤本能道コレクションは、
名実ともに世界一のコレクションと言っても過言ではありません。
さて、6年ぶり5回目となる今回の藤本能道展では、
“鳥々”と題して、特に鳥をモチーフにした作品に注目。
藤本が描く鳥は、どれほどまでに写実的なのか。
作品によっては、実際の鳥の写真と見比べられるようになっています。
写真が無くても、彼の描く鳥が写実的なことは十分に伝わりますが。
改めて写真と見比べてみることで、
さらに、そのスゴ味が感じられました。
とは言え、さすがに天才も一日してならず。
初期の色絵作品は、まだどこか素朴な印象がありました。
↑ここからスタートし・・・・・
トライ&エラーを何度も何度も繰り返して、
独自で色絵磁器の表現を極めていったわけです。
展覧会では作品は時系列に並べられているため、
観終えた時には、1本のドキュメンタリーを観終えたくらいの感動がありました。


さてさて、本展のタイトルにも引っ張られて、
ついつい描かれた鳥にばかり目が行ってしまいますが。
それだけでなく、背景となる白地にも是非ご注目ください。
意識しないと、全部同じ白い色に見えるかもしれませんが。
作品名には「草白釉」や「雪白釉」など、
聞き慣れない釉薬の名前が含まれています。
実はこれらはすべて、藤本が独自に生み出したオリジナルの白釉。
少し青みがかった「草白釉」に、雪のように白く不透明な「雪白釉」に。
藤本は描くモチーフに合わせて、独自の白釉を使い分けていたそうです。
なお、藤本オリジナルの白釉は他にも、「霜白釉」と「梅白釉」があります。
意識して見比べてみると、
確かに、それぞれ違う白色でした。
もし、この展覧会をアンミカが訪れたなら、
今度からは「白って204色あんねん」と言うことでしょう。


ちなみに。
本展のラストでは、藤本作品とともに、
彼の師である富本憲吉と加藤土師萌の作品も展示されています。
それらの中で印象的だったのが、こちらの富本作品。
なんとなく、カラーリングが桔梗信玄餅っぽかったです。














