先日、多摩美術大学の八王子キャンパスに行ってきました。
訪れた日は、ちょうど卒展の開催日。
未来の美術界を背負って立つ・・・かもしれない。
そんなツギクル芸術家たちの作品の数々に出逢えました。
中でも印象的だったのが、TEI Yokukouさんの《Equivalent》という作品。
添えられたキャプションには、その素材として、
「大学院創作活動研究経費(紙幣10万円)、輪ゴム」とありました。
経費をそっくりそのまま使った作品ということなのでしょう。
潔いというかなんというか。
これを卒展で発表できる度胸に、大物の片鱗がうかがえました(笑)。
さてさて、これらも無料で観れる美術作品ではありますが、
キャンパス内にも、無料で観れるパブリックアートが点在しています。
例えば、こちらは長澤英俊さんの《TINDARI》。
また例えば、こちらは若林奮さんの《振動尺 傾斜の中の手》。
他にも、建畠覚造や笠置季男をはじめ、
武蔵美にゆかりある芸術家の作品が設置されていました。
そして、それらの作品に混じって、なんとあの国際的な巨匠の作品も!
・・・・・・え?どこに作品が??
おそらくこの記事を読んでいる方の多くが、混乱していることでしょう。
この写真から一発で美術作品を見つけられる人、0人説。
相当難易度は高いです。
なんなら、自分は作品があると分かった上で、
ここを訪れたのに、見つけられずスルーしそうになりました。
正解は、こちら↓
地面に埋め込まれている鉄の輪っかが、実は美術作品なのです。
続・無料で観れる美術百選059
リチャード・セラ
《反転し合う直角、ヘクサグラムの基礎板を取り囲むために》
作者は、昨年85歳で逝去したリチャード・セラ。
1994年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞、
2000年にはヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞を受賞した、
ポスト・ミニマリズムの巨匠と称される彫刻家です。
キャプションを見ると、1970年に制作されたものということがわかります。
一見するとただの鉄の輪っかにしか思えませんが、
日本の美術界にとって、この作品はかなり重要な作品なのです。
1970年、東京都美術館にて、伝説の展覧会が開催されました。
“人間の物質展”こと第10回東京ビエンナーレです。
その出展作家の一人として招聘され、初来日したリチャード・セラ。
彼は出展作の一つとして、都美術館の敷地に、
この鉄の輪っかの埋設を提案したところ、拒否されたようで。
仕方なく、上野公園の一角に設置したのだそうです。
それから月日が流れ、1978年のこと。
上野公園の再整備工事の際に、撤去処分されそうになります。
そう、美術関係者以外にとっては、ただの鉄の輪っか。
ほとんどの人が美術作品だとは思っていなかったのです。
そのピンチを救ったのが、当時の多摩美の学生たち。
アメリカのセラに連絡を取り、移設の許可をもらったそう。
かくして、上野公園から武蔵美の上野毛キャンパスに無事移設されました。
そして、その後、上野毛キャンパスから八王子キャンパスに。
現在は、アスファルトに埋め込まれているセラの作品。
もう2度と撤去させない。
そんな強い意志を感じさせられました。
<無料で観れる美術 データ>
多摩美術大学 八王子キャンパス
住所:東京都八王子市鑓水2-1723
アクセス:○JR・京王線「橋本駅」より神奈川中央交通バス「多摩美術大学行」で約8分
○JR「八王子駅」より京王バスで約20分














