第2柱  はじめまして、アルテミスです。 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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「私の名は、アルテミスだ。
 以後、よろしく。

 本当は、私は自己紹介などしたくないのだが、
 先日、私の双子の兄アポロンがしたそうだから、
 私もしないわけにはいかないだろう。うむ。

 ギリシャでは、アルテミスと呼ばれているのだが、
 ローマでは、ルナとも、ディアナとも呼ばれているらしい。
 ちなみに、ディアナを英語読みすると、ダイアナとなるのだ。
 どうだ、少しは勉強になったか?

 アルテミス、ルナ、ダイアナ。
 確か、日本の 『何とかムーン』 というアニメに、
 そんな名前の猫たちが出てきたと、私は聞いている。
 そのアニメに私に名が使われたのは、おそらく私が月の女神だからだろうな。
 
 それから、私は狩猟の女神もしている。狩猟はいいぞ。
 弓矢を持ってな。猟犬を従えて、森の中を駆け巡るのだ。
 獲物を追い詰めるときの緊張感。
 仕留めたときの爽快感。
 狩猟で得られる喜びというのは、何事にも代えがたいものだ。


 ・・・・・ん、何だ?
 狩猟の話は、今日はいい?
 うむ。では、また後日、ゆっくり話すとしよう。

 では、一体、私は何を話せばよいのだ?

 おいっ!今、何と言った貴様!!
 恋バナだと?!
 
 たわけ!

 この私が、恋愛なんてくだらないことに、うつつを抜かすわけがなかろう。
 私は尊敬するアテナ様に倣って、純潔を誓っているのだ。ふん。
 

 まったく!
 あぁ、男と聞くだけで、虫唾が走るわ!

 大体な、男ってのはなんなのだ?
 あれは、私が狩猟を終えて、お付きのニンフたちと、水浴をしていた時のことだ。
 ふと気配がしたのでな、そちらに目をやると、男が立っているではないか。
 賢そうな猟犬を50頭も連れているから、おそらくあいつは猟師なのだろう。
 
 「お前、腕は立つのか?
  どうだ?この女の私と、一つ腕比べをするか?」

 と、言ってやりたいところだったが、何せ私は水浴中だ。
 狩猟の腕比べをしている場合ではない。

 ・・・・・ん?水浴中?
 
 ということは、今、私は裸ではないか?!
 
 あの男は、私の裸を見ているというのか!!
 男というのは、とかく馬鹿な生き物だからな。
 きっと、「アルテミスの裸を見たぞ」 とかなんとか、自慢げに話すのであろう。
 それは、絶対に許せぬ!
 えいっ、こうしてくれるわ!! 


ジュゼッペ・チェーザリ 《アルテミスとアクタイオン》
 

 ははは。鹿に姿を変えてやったぞ。
 馬鹿だけに、鹿とは傑作だ。
 鹿になってしまえば、私の裸を見たことは誰にも話せまい。

 「ワンワンワン!!」

 ん?どうしたのだ、猟犬たちよ。
 そいつは、お前たちの主人ではないか。
 お・・・おいおい・・・・。
 そんな・・・50頭がかりで・・・・・お~い!!

 まぁ、鹿を見たなら、襲ってしまうよな。
 それがお前たちの本能だもんな。うむ。
 しかし、飼っていた猟犬にズタズタにされるとは。
 男というのは、つくづく馬鹿な生き物だ。

 確か、あの男の名は、アクタイオンだとか言ったか。
 男どもよ。私の裸を見たら、アクタイオンのような目に遭うぞ。
 覚えておくがよい。

 おや?もうこんな時間か。
 では、私はこれにて失礼。

 何?どこに行くのかだと?
 そんなことにも答えなければならぬのか。
 今から、エンデュミオンのところに行ってくるのだ。
 これは私の日課なのだ。 

 あれは、いつのことだったか。
 私が銀の戦車でドライブしていた時のことだ。
 ラトモス山の中腹に、エンデュミオンという男が眠っていたんだ。
 その寝顔は、芸術のように美しくてな。
 私は戦車を降り、そいつを起こさぬよう、その寝顔を見続けたのだ。
 で、その寝顔を見ながら、私はふと思った。

 “この男は、人間だ。
 私ら神と違って、いずれ歳を取ってしまうのか・・・”

 すると、この美しさは、いずれ失われてしまうのであろう。
 まったく、何てことだ。
 そこでな、私は父ゼウスに一つをお願いしたのだ。

 「頼む。この男を一生眠らせておいてくれ」

 これならば歳を取ることはない。
 どうだ、なかなかの名案だろ?
 というわけでな、今から私はそのエンデュミオンの寝顔を見に行ってくるのだ。


ジャン・オノレ・フラゴナール 《ディアナとエンデュミオン》

 
 ・・・・・何?
 「それは恋をしているのじゃないか?」 だと??

 
 ・・・・・。



 ・・・・・・・・・・・。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



 何~~~~?!これが、恋なのか!!

 そうなのか?!
 この私が、人間に恋をしてるだと!!
 何たる不覚!!!

 おい、私はどうしたらよいのだ(焦)??
 とりあえず、このことは黙っておいてくれ。
 頼む!この通りだ!」





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