第1柱  はじめまして、アポロンです。 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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「やぁ、はじめまして僕の名前はアポロンです。

 ・・・えっ、初めて会った気がしない?
 それは、たぶん僕が “出光” のロゴマークになってるからじゃないかな。




 あ、それでね。僕は、太陽神なんだ。
 それだけじゃなくて、予言と牧羊と数学と音楽と弓矢の神様もしてるんだよね。
 あとは、芸術一般と、それから医学も・・・・・
 って、いろいろ引き受けすぎだよね (笑)
 まぁ、断れない性格なんだよ。
 
 僕は基本的に何でも得意なんだけど、特に得意なのは、竪琴かな。
 そうそう、竪琴と言えばね。
 この前、牧神のパンと音楽勝負をしたんだ。
 彼ね、笛が得意だって自慢げだったんだよね。
 まぁ、そこそこは上手かったと思うよ。
 でも、僕には到底勝てないよ。だって、どう考えても、僕の竪琴の腕の方が上だもん。
 実際、審査員も観客も、僕の方に軍配を上げたんだ。
 あっ、これはその時の様子ね。


ヤーコブ・ヨルダーンス 《アポロンとパン》


 なのにさ、ミダスって名前の王だけは、

 「パンの勝ち!」

 とか言っちゃうわけ。
 まったく、どうかしてるよね。
 たぶん耳がおかしいんだろうな、あのミダスってやつ。
 だからね、あいつの耳をロバの耳に変えてやったんだ (笑)!
 そしたらなんと、それを自分の理容師に見られたらしくてね。
 「王様の耳はロバの耳」 とか、言われてやんの。
 
 ギャハハハハハ!!


 ・・・・・あ、ごめんね。
 え、え~と、自己紹介の途中だったよね。

 僕って、自分で言うのもなんだけど、イケメンなんだ。
 しかも、頭も良くて、スポーツ万能!
 それなのに、なぜか恋愛運は良くないんだよね・・・。
 う~ん、何でだろう??

《アポロンとダフネ》


 あっ、この彫刻は、ベルニーニって彫刻家の 《アポロンとダフネ》 って作品。
 この作品は、僕の人生の中で、一番ショックな出来事をモチーフにしてるんだよ。
 本当のところ、彫刻になんかして欲しくないんだよね (泣)。
 まぁ、でも、せっかくだから今日は何があったか話すよ。うん。
 
 僕は竪琴も得意なんだけど、弓矢も得意なんだ。
 ある日、エロスと街で会ったんだよね。
 あ、エロスって言ってもわからないかな?
 英語名の “キューピッド” って言えばわかるかな。
 そうそう、それで、そのエロスがまだ子供のくせに、一人前に弓矢を持ってたわけ。
 だから、つい揶揄っちゃったんだ。
 そしたら、あのクソガ・・・もとい、エロスがね。
 その仕返しに、僕に金の矢を放ちやがったんだ。
 あいつの金の矢には不思議な力があって、
 射貫かれると誰かを好きになっちゃうんだよね。
 

 で、その時、金の矢が刺さった僕が好きになったのが、河の神ペーネイオスの娘ダフネ。
 めちゃめちゃ綺麗だったし、清楚な感じだったし。
 僕のタイプど真ん中の女の子だったんだ。
 だから、僕はダフネに告白したんだよね。

 ところがだよ!
 ダフネが、ものすごく拒絶するわけ!
 この僕が告白したのにだよ!おかしくない?!


 で、これは後で知った話なんだけど、
 あのクソガキ・・・・・・・いや、エロスが、
 ダフネのほうに、鉛の矢を放ってやがってたんだって。
 この鉛の矢ってのは、金の矢とは正反対で、
 当たったら、誰かをどうしても嫌いになっちゃうんだ。
 どうりで、ダフネは僕を拒絶したわけだよね。

 だけど、そんなこと、僕はその時は知らないからさ。
 好きなダフネを追いかけて追いかけて追いかけまくったの。


 ・・・・・・え?ストーカーじゃないかって??
 そんなわけないでしょ。人聞き悪いよ。

 まぁ、とにかく、僕はダフネを追って追って追いかけたんだ。
 ダフネのことが大好きだからね。
 ダフネも頑張って僕から逃げ続けたんだけど、
 さっきも言った通り、僕はスポーツ万能なんだよね。
 だから、当然、ダフネに追いついちゃうわけ。

 で、追いついたなら、こっちのもんだよ。
 僕の顔をちゃんと間近で見れば、ダフネだって拒絶するわけないんだ。

 だって、僕はイケメンなんだから。
 ところがさ、次の瞬間にね、ダフネがとんでもないことを言ったんだ。

 「お父様、助けてー!私はいつまでも清らかな身体でいたいの!
  そのためだったら、どんな姿に変えられてもいいわ!」


 いやいやいや。
 こんなこと、女の子に言われたことある?
 めちゃめちゃショックだったよ。
 
 でね、ダフネのお父さんは、ちゃんと娘の願い事を聞き入れたんだ。
 どうなったかって言うとね。
 僕の前で、ダフネがみるみるうちに木に姿を変えていったんだ。
 そりゃもう、さらにショックだったよ。

 いくら僕がイヤだからって、何も木にならなくたって・・・。
 ベルニーニの彫刻は、まさにその瞬間を表しているってわけ。
 
 結局、ダフネは、月桂樹の木になっちゃったんだよね。
 だから、僕は、そのダフネが姿を変えた月桂樹の枝を冠にしてね。
 こうやっていつも頭に付けてるんだ。
 これなら、いつでもダフネと一緒にいれるからね。うん

 ・・・・・・え?
 いや、だから、ストーカーじゃないんだって!!





「あ、最後に、僕からのお願い。
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