“その作品を創った作家について知る” ことが大切です。
・・・・・しかしながら。
美術展のパネルでの解説。
世に出回る美術関連書籍。
美術を研究している大学教授や、美術評論家の講演…etc
どれを取ってみても、イマイチ解説がわかりづらいです。
そして、当然ながら、笑いがありません。
「やっぱり、美術って難しいなぁ・・・」
「美術の解説って、つまらないなぁ・・・」
多くの方が、そう思うのも当然のことかと。
そんな皆様にお届けする新しいタイプの美術エンターテインメント企画。
それが・・・
【キーワード】で紐解く とに~の美術家列伝
はじめましての方も、そうでない方も。
改めまして、アートテラーのとに~です。
旧美術展レビューである “美術展へ行こう!” シリーズや、
横浜美術館でのトークイベント “美術展へようこそ!” でもお馴染み。
『【キーワード】 でもって、画家を知ろう』 という、
アートテラーの専売特許とも言えるこの鉄板ネタ (?) が、
このブログで装いも新たに再スタートすることになりました!
その初回に皆様にご紹介するのは、こちらの画家↓

現代日本画を代表する画家の一人・加山又造 (1927-2004) です。
昨日の記事でも、すでに彼の作品を数点紹介しましたが、他にも、《夜桜》 や、

《千羽鶴》 といった作品でも、知られています。

これらの作品を見て、
「うわっ、マジかっけえ~!」
と、思った方も少なくないでしょう。
確かに、加山又造の作品は、マジかっけえですが。
その一言だけで片づけてしまうのもなんなので、もう少し掘り下げていきましょう。
加山又造の作品の一番の特徴。
それは、 “装飾的である” ということ。
装飾的。
と、このように美術の解説は、わかるようでわからない言葉が多いですね。
一言で言うなら、飾るための作品ということ。
誤解を恐れずに言うならば、見た目重視ってことです。
ストーリー性やら、精神性などは二の次で、
とりあえず構図を大胆にしたり、デフォルメしたり、金箔や銀箔を使ってド派手にしたり。
例えるならば、ファッションのようなもの。
たいていの人間は、オシャレをする時に、
ストーリー性や精神性を持たすことなく、見た目を重視してコーディネートすることでしょう。
それが、装飾性です。
・・・と、ここで、僕は、今回の 【キーワード】 をパッと閃きました!
加山又造を紐解くには、かっけぇファッションがたくさん紹介されている、あの雑誌しかないと。

宝島社から毎月24日に発売されている 【smart】 です。
1995年10月に、ボーイズ版 『CUTiE』 として発売された 【smart】 は、
今や、数あるメンズファッション雑誌の中で、1位2位を争うほどの売り上げを誇っています。
そのライバルは、もちろん 『MEN’S NON‐NO』 。
余談ですが、『NON‐NO (ノンノ)』 とは、アイヌ語で、“小さい花” という意味だそうです。
女性誌なら違和感ありませんが、男性の雑誌に使われると、ちょっと微妙な感じですね。
ちなみに、この “NON‐NO” という言葉、イタリア語だと、“おじいさん” を表すのだとか。
『MEN’S NON‐NO』 を、イタリアで読んでいても、オシャレさんとは思われないかもしれません。
と、『MEN’S NON‐NO』 の話は、これくらいにしておきまして。
何故、今回、同じかっけぇファッション誌でも、【smart】 の方を 【キーワード】 に選んだのでしょうか。
実は、そこに、加山又造という画家を知る全てのポイントがあるのです。
『MEN’S NON‐NO』 と 【smart】。
同じ男性ファッション雑誌でありながら、そのターゲット層は全然違います。
『MEN’S NON‐NO』 が取り扱ってる主なブランドは、
ファクトタムやバーバリーブラックレーベルなどのデザイナーズ系ブランド。
一方、【smart】 は、SUPREMEやSTUSSYなどのストリート系ブランドを取り扱っています。
ファッションにあまり詳しくない人のために、かなりざっくばらんに言ってしまうならば、『MEN’S NON‐NO』 に掲載されている服は高価で、【smart】 は相対的に安価。
そういうわけで、【smart】 の読者は、20代前半のフリーターが多いのだそうです。
(あ、僕も 【smart】 を読んでます
)
そのことから、20代でフリーター生活を送る下流男子に、
「smart男」 なる呼び名が付けられているとかいないとか。
(名づけたヤツ、ちょっと出て来い!)
さて、今回の主役、加山又造も、若い頃は 「smart男」 でした。
彼が画家として出発しようとしたのは、戦後直後のこと。
当然、美術に専念できるわけもなく、
様々なアルバイトをすることで、その糊口をしのいでいたそうです。
と、この時代。
巷では、日本画滅亡論なるものが唱えられていました。
敗戦直後の人々の生活とは、全くかけ離れている日本画界に疑問が持たれていたのです。
「日本画って、綺麗ごとの世界すぎねぇ?
「てか、日本画家って、何も主体性がなくねぇ??」
と。
これを 『MEN’S NON‐NO』 に例えるならば、
「『MEN’S NON‐NO』 に載ってる服って、キレイ目なだけじゃねぇ?」
「てか、モデルって特に考えなく、ただ着こなしてるだけじゃねぇ??」
という疑問があがったようなもの。
当然、こういう流れに対して、
「もっと現実的な、新しい日本画を描かねば!」
という画家が現れるでしょうし、
「もっと現実的な、新しいファッション雑誌を創刊せねば!」
という出版社が現れるでしょう。
そう。それこそが、加山又造であり、 【smart】 だったのです。
では、具体的に、加山又造と 【smart】 は、
それぞれの世界で、どんな革新的なことに挑んだのでしょうか。
この続きは、また次回。