軽々とミラー捻じ曲げ見つめ合う18号線流れゆくまま
段ボールに三十年が畳まれて小さく纏まりゆく此の春を
米櫃が宙に弾けしその日よりあきつしまねはパニックとなる
詩のように佇むホテル「ブレイクス」に招かれゆきし冬を忘れず
テラスまで海の精霊たちこめてわが蜜月の夢を青くす
行儀よきナルシシズムをなぞりゆく合わせ鏡のごとき求愛
享楽の終わりを告げる淋しさよ我だけがまた負けてしまうか
ゆるされて君の隣へ座るとき早鐘を打つわれの脈拍
改札口にさらりと長身の君見えて心に映る黄色いハンカチ
凍りついた物は溶けだし堰を切り予想などもせしこの怒濤なり
飛び散りし涙の束をアルバムにやっと収める夏となりたり
賑やかな人と今更思い知る家じゅう君の声で溢れて
争いを好まざる人笑み浮かべペパーミントの眠りの中へ
横顔に胸熱くしたことなども思い返してみようこの秋に
花園に眠る牡鹿に手をのべて小さきメルヘンひとつ紡ぎぬ
行儀よく羽毛重ねた寝返りのその正しさをあわれと思う
永劫というものあればその姿見た心地する未明の風よ
夕べ見た鹿の寝顔がよみがえり一途に思う君のことをば