内因性幻聴とトピナ
今回は「統合失調症っぽい幻聴」に出てくる女性患者さんのその後の経過である。前回は2008-04-16にアップしているので既に3年半の年月が経過している。
彼女は前回の記事の通り「統合失調症っぽい幻聴」が続いており、洞察も困難な状態だった。
当初、なぜかジプレキサ30mgが処方されていた。幻聴はあるものの、入院しないで済んでいるといったところである。また、ジプレキサのために肥満が生じていた。しかし継続して服薬はしているが、体重増加は収まっており、それ以上は増えない状態だった。
ジプレキサ30mgで幻聴が収まっているのならわかるが、そう良くもないなら変更して色々試していけば、他の薬でうまくいくような気がしていた。ジプレキサ30mgという処方は上限を超えているが、30mgのうち10mgだけは頓服として、レセプト的にはなんとかクリアできていたようである。
当初、これからジプレキサを開始するなら外来では怖いところだが、減量して他の薬を試すなら、変更でもリスクは少ないと思った。だから、今後の治療スケジュールやその結果について、高をくくっていたのである。
最初、何から開始して、どのような結果になったかはいちいち憶えていないが、結論から言うと、ジプレキサほどまだマシな薬はなかった。彼女にとって、ジプレキサなしで治療すると、より悪い状態になるのである。
これは極めて残念な結果であり、統合失調症の人で、しかもこの若さで、こうも良くならない人がいるものだろうか?と思った。
それでもジプレキサ20mgまで減量し、合わせてレキソタンなどを服用してもらった。レキソタンは爆発的な幻聴のラッシュを緩和できる。だから頓服で使うと本人がまだ楽に過ごせるのである。
彼女には抗パーキンソン薬は必要ではなく、いかなる薬も忍容性が高かった。どれといって、飲めない薬はないのである。効かないだけで。
一部の薬は効かないどころか病状を悪化させていたが、入院するほどまではなかった。ただ、家族は「あの医師はいったい何をしようとしているんだろう?」くらいは思ったはずである。
爆発的な幻聴の苦しさは本人でないとわからない。それを感じとれる以上、そのまま放置する気になれないのである。
彼女は爆発的な幻聴が生じた日は、泣きながら家に帰っていたらしい。
当初から、デパケンRなどの気分安定化薬を併用してみたが、思ったほどの効果がなかった。しかし、デパケンRを併用しても悪化もないし、更に肥満することもなかった。
ある日、ラミクタールを併用するとうまくいくかもしれないと思った。ラミクタールは2008年12月頃発売されており、当時ようやくラミクタールを使い慣れてきた頃である。たぶん1年半か2年前くらいだろう。
ラミクタールはリボトリール併用で処方したが、最初だけ少し幻聴が緩和しているように見えたが、時間が経つとたいして変化がなかった。そこである程度増量した後、中止した。ラミクタールは効果も乏しいが、副作用もなかった。
ラミクタールの併用が意味があるとしたら、例えば幻聴が消失まではしないにしても、2分の1なり3分の1に減少するようなケースである。ジプレキサが減量できればなお良い。
そして消極的だが、打つ手もないのでジプレキサ20mgを平凡に処方していたのである。
その後、トピナを使うことに決めた。トピナは扱いが難しい薬だが、このタイプの幻覚を減少させる可能性を秘めている。しかし、ラミクタールとの相違は、病状を悪化させる可能性も結構高いことである。
トピナの精神症状の悪化は、ジプレキサ、エビリファイ、インヴェガのような劇的な悪化に比べ、すぐに中止し経過観察すると比較的収束が早い。これは抗精神病薬と抗てんかん薬との相違もあるように思う。(参考)
ラミクタールやトピナで幻覚が改善するメカニズムやトピナで精神症状が悪化するメカニズムは謎である。
彼女にトピナを使った結果だが、良かったのである。彼女は爆発的な幻聴に襲われなくなった。また、ようやくだが、ジプレキサを減量できるようになった。
トピナは50mgから開始し、次第に増量し150mgまで増量したが、その後、そこまでの量を使う必要がないことがわかった。今は漸減し50mgだけである。トピナが合っている人の適量を決めるのは非常に難しい。時に300mgくらい必要な人もいるからである。
ジプレキサ 13mg
トピナ 50mg
デパケンシロップ 10ml
この処方にしたところ、ようやく体重が減り始めたのである。これは今までいかなることをしても減ることがなかったので、大変な事件である。
彼女は「たまに小さく聴こえるけど、全然聴こえない日もある」と話している。急に幻聴に襲われて泣き出すようなこともなくなったらしい。
参考
統合失調症とトピナ
トピナのテーマ
彼女は前回の記事の通り「統合失調症っぽい幻聴」が続いており、洞察も困難な状態だった。
当初、なぜかジプレキサ30mgが処方されていた。幻聴はあるものの、入院しないで済んでいるといったところである。また、ジプレキサのために肥満が生じていた。しかし継続して服薬はしているが、体重増加は収まっており、それ以上は増えない状態だった。
ジプレキサ30mgで幻聴が収まっているのならわかるが、そう良くもないなら変更して色々試していけば、他の薬でうまくいくような気がしていた。ジプレキサ30mgという処方は上限を超えているが、30mgのうち10mgだけは頓服として、レセプト的にはなんとかクリアできていたようである。
当初、これからジプレキサを開始するなら外来では怖いところだが、減量して他の薬を試すなら、変更でもリスクは少ないと思った。だから、今後の治療スケジュールやその結果について、高をくくっていたのである。
最初、何から開始して、どのような結果になったかはいちいち憶えていないが、結論から言うと、ジプレキサほどまだマシな薬はなかった。彼女にとって、ジプレキサなしで治療すると、より悪い状態になるのである。
これは極めて残念な結果であり、統合失調症の人で、しかもこの若さで、こうも良くならない人がいるものだろうか?と思った。
それでもジプレキサ20mgまで減量し、合わせてレキソタンなどを服用してもらった。レキソタンは爆発的な幻聴のラッシュを緩和できる。だから頓服で使うと本人がまだ楽に過ごせるのである。
彼女には抗パーキンソン薬は必要ではなく、いかなる薬も忍容性が高かった。どれといって、飲めない薬はないのである。効かないだけで。
一部の薬は効かないどころか病状を悪化させていたが、入院するほどまではなかった。ただ、家族は「あの医師はいったい何をしようとしているんだろう?」くらいは思ったはずである。
爆発的な幻聴の苦しさは本人でないとわからない。それを感じとれる以上、そのまま放置する気になれないのである。
彼女は爆発的な幻聴が生じた日は、泣きながら家に帰っていたらしい。
当初から、デパケンRなどの気分安定化薬を併用してみたが、思ったほどの効果がなかった。しかし、デパケンRを併用しても悪化もないし、更に肥満することもなかった。
ある日、ラミクタールを併用するとうまくいくかもしれないと思った。ラミクタールは2008年12月頃発売されており、当時ようやくラミクタールを使い慣れてきた頃である。たぶん1年半か2年前くらいだろう。
ラミクタールはリボトリール併用で処方したが、最初だけ少し幻聴が緩和しているように見えたが、時間が経つとたいして変化がなかった。そこである程度増量した後、中止した。ラミクタールは効果も乏しいが、副作用もなかった。
ラミクタールの併用が意味があるとしたら、例えば幻聴が消失まではしないにしても、2分の1なり3分の1に減少するようなケースである。ジプレキサが減量できればなお良い。
そして消極的だが、打つ手もないのでジプレキサ20mgを平凡に処方していたのである。
その後、トピナを使うことに決めた。トピナは扱いが難しい薬だが、このタイプの幻覚を減少させる可能性を秘めている。しかし、ラミクタールとの相違は、病状を悪化させる可能性も結構高いことである。
トピナの精神症状の悪化は、ジプレキサ、エビリファイ、インヴェガのような劇的な悪化に比べ、すぐに中止し経過観察すると比較的収束が早い。これは抗精神病薬と抗てんかん薬との相違もあるように思う。(参考)
ラミクタールやトピナで幻覚が改善するメカニズムやトピナで精神症状が悪化するメカニズムは謎である。
彼女にトピナを使った結果だが、良かったのである。彼女は爆発的な幻聴に襲われなくなった。また、ようやくだが、ジプレキサを減量できるようになった。
トピナは50mgから開始し、次第に増量し150mgまで増量したが、その後、そこまでの量を使う必要がないことがわかった。今は漸減し50mgだけである。トピナが合っている人の適量を決めるのは非常に難しい。時に300mgくらい必要な人もいるからである。
ジプレキサ 13mg
トピナ 50mg
デパケンシロップ 10ml
この処方にしたところ、ようやく体重が減り始めたのである。これは今までいかなることをしても減ることがなかったので、大変な事件である。
彼女は「たまに小さく聴こえるけど、全然聴こえない日もある」と話している。急に幻聴に襲われて泣き出すようなこともなくなったらしい。
参考
統合失調症とトピナ
トピナのテーマ