ラミクタールと中毒疹の悲喜こもごも | kyupinの日記 気が向けば更新

ラミクタールと中毒疹の悲喜こもごも

ラミクタールは初期のインパクトが強い薬で、処方した1~2日目に劇的に精神症状を改善することがある。

僕は必ず重篤な中毒疹について説明するが、患者さんは十分に理解できていないように思う。ひょっとしたら、そういうタイプの人に処方することが多いのかもしれない。

そう思う理由は、ラミクタールで湿疹が生じても気がつかずに飲み続けている人がいるからである。実際に痒みが出ているのに。

ラミクタールの中毒疹でははっきりした湿疹が見えず、ただ痒いだけの人もいる。こういう人は中毒疹とは気付かない人もいるようなのである。湿疹が皮膚に見えなくてもそれは当たっている。

ある人などは、痒みもあり湿疹も出現しているのに事前に説明していたように中止していなかった。その人は受動的なタイプの広汎性発達障害である。なぜ中止しなかったのか聞いてみた。

とても調子が良くなったので、止めるに止められなかった。

という返事であった。旅行やコンサートに行けるほどに改善していたらしい。精神科医からするとこれは困る。(理由になっていない。もちろん中止)

ラミクタールを長期に続けている人の経過をよく観察していると、処方し始めの特に初期に2~3日ほど軽微な湿疹が生じ、そのまま消失したという話を時々聞く。これは中毒疹でも非常に良性のものと考えられる。

こういう人はラミクタールの良好な治療効果が出ていることが多い。あれはひょっとしたら、漢方でいう瞑眩現象のようなものかもしれない。(バッチフラワーでいう好転反応)

ある社会不安障害の人は醜形恐怖と、たまに幻覚妄想もエピソード的にみられていたが、ラミクタールの少量で嘘みたいに症状が消えた。なんと、激しい幻聴がラミクタールの12.5㎎隔日で簡単に遮断できたのである。またうつ状態などにも有効だったので著効例と言えたが、3週間目くらいに突然、中毒疹が出現した。ガッカリである。僕もガッカリであるが、本人はもっとガッカリである。

3週間目といえば、まだ12.5㎎隔日くらいしか僕は処方していない。ラミクタールは少量でも中毒疹は意外に出る。

ラミクタールを中止しても幻聴は再燃しなかった。これは重要である。今はアナフラニール主体に治療をしているが薬剤数としてはかなりシンプルになっている。

広汎性発達障害の人たちにラミクタールを処方すると、いろいろな過敏性が改善する。例えばストレスの脆弱性などである。(以前ほど音が気にならなくなるなど)。

このように自覚症状が隔日でさえ大幅に改善すると、増量してほしいと強く希望をする人も多いが、これは大きなワナである。早い速度での増量は中毒疹の確率を高める上、精神症状もそこまで比例して良くならない。(ラミクタール増量のパラドックスについて、いつかアップしたい)

また、胸のなんとも言えないようなモヤモヤ感なども改善することがある。この効果は疾患特異性がなく、あらゆる精神疾患でそういう面を改善する。ラミクタールが中毒疹が出易いのは、つまり外胚葉へのインパクトが大きいこともあるような気がする。

ある広汎性発達障害ではない器質性の幻覚妄想の人にラミクタール12.5㎎を処方したところ、服用した初日に幻聴が消失したと言う。本人によれば、世界が変わったように感じたほど。ところが、その翌日には激しい痒みが生じ愕然。数日待ち、痒みが消えたため、もう一度だけ飲んでみた。ところが、再び激しい痒みが出て更にショックを受けたと言う。

救われた!と思った直後に裏切られたからである。

この人はラミクタールほどではないが、ロナセン、デパケンR、トピナでまあまあ良いので、治療的には成功の方である。ラミクタールはいくつもの効果を兼ね備えているので、処方がシンプルになるのが良い。

これは知り合いの医師の話だが、ラミクタールで口内にアフタが出ているのに継続投与している子供たちがいるらしい。全く過激な話だが、その数名の子供たちはラミクタールを服用しさえすれば学校に行けるからである。

発達面を考えるに、子供が登校できるようになるのは非常に大きいという判断である。

アフタは重篤な中毒疹に発展する危険性が高いが、実はその辺りから発展しない人もいる。これは製薬会社は、重大な中毒疹に発展しかねないため言わないが、そういう事例はあるらしい。(注;ラミクタールは中毒疹が出たら即座に中止すべきである。しかし医師の裁量で、継続することも稀にある)

そういう話を聞き、僕はあるてんかんの患者さんにアフタが出ても数ヶ月間ラミクタールを継続したことがある。さすがに食事の時に痛いと言うので、ラミクタールを使わない別な治療法を探していた。その患者さんはラミクタールを使わないよりは使った方が遥かに良かったが、満足できる範囲ではなかった。

この人はけいれん発作を止めるためではなく、けいれん発作の消失後の酷い精神病状態(夢幻様状態)が何ヶ月も続いていたことで僕は苦悩していた。

そしてもっと良い方法を発見し、今はラミクタールを中止している。(この時の経験は将来、内因性の正体の最後頃にアップする予定)

この人は結局、30年間続いていた月に2~3回のけいれん発作が消失し、自力歩行できるようになった(まだ比較的若い人)。その患者さんは家ではなんとか歩けていると思っていたのだが、家族に聞くと実はそうではなかった。ただ、この人が全般的に良くなったのは、ラミクタールのためとは言えない。

この人は計3回ラミクタールを試みている。少量から開始し、アフタが形成し中止という繰り返しであった。よくもまあ3回も繰り返したものだと思う。その人は3回目にアフタ以上には発展しないことがわかった。

ラミクタールは認知を改善するので、てんかんの人に限らず一般の器質性疾患に有用である。レビー小体病の人に劇的に効くことがあるのは、精神病状態を改善し、認知を改善し、更にEPSが出現しないからと思う。

稀にだが、ラミクタールを使い始め、数回の服薬の後、中毒疹が発症し、その後中止したのにもかかわらず、好影響が残る人がいる。それも4回とか8回くらいしか服用していないのである。

ラミクタールは単独で使わず、他の薬と併用するが、中毒疹が出たからと言って全ての薬は中止しない。ここが悪性症候群への対応との大きな相違である(悪性症候群でもベンゾジアゼピンは残すケースもある)。

ある人は、ラミクタールをたった12.5㎎隔日で4回しか服用しなかった(のべ計8日間)。しかし、発病前に戻った思うほど、性格的にも疾患的にも若い頃にタイムスリップした。(本人の友人によれば20歳頃の彼女に戻ったという)

その人は4回だけでラミクタールは止めてしまった。しかし、止めてから2~3日後に中毒疹が発現したのである。これは離脱性かもしれないが、いずれにせよラミクタールが悪いことはほぼ間違いない。

その後、なぜかその良好な精神状態が維持されているのである。

こういうことを見ても、ラミクタールはハードに切り込むタイプであることがわかる。

参考
ラミクタールのテーマ
トピナのテーマ
貴方が来るのを待っていました
てんかんの寛解、治癒の謎