
人生の中で、明日に希望があることなど信じられなくて、「夢に向かって・・・」という言葉がうとましい日々が続くこと・・・ありますよね。
うつ病などの精神疾患で苦しんでいる人は、そんな気持ちが一日中続く日々が多いのだろうと思います。
そんな人たちの気持ちに少しでも近づきたくて、私は時々SEKAI NO OWARIの【銀河街の悪夢】を聴きます。
明日に住み着いてる幻覚の名前は
皆さんご存知「希望」というアレです
・・・・・・
だって昨日もおとといも変わろうとしてたけど
今日も僕は変われないまま今日がまた終わってく
明日また起きたら何か始めてみよう
だから今日はいつもより早く眠りにつこう
だけど眠れなくて朝日が昇るんだ
明日はもっと自分が嫌いになるのかなぁ
(SEKAI NO OWARIについては、こちらのブログ記事に詳しく書いています)
今日もこの歌詞を聴いていたのですが、ふと、あるクライアントさんのカウンセリングがまずかったのではないかと自己嫌悪に陥りました。
その方は、パーソナリティ障害にうつ病を併発していて通院中で、昨年の6月ぐらいからメールカウンセリングをしている人です。
メールカウンセリングで簡易的な認知行動療法なども行って、昨年の11月ぐらいには調子が良くなっていて、ご本人の意思で資格取得のスクールに通って夢を形にする準備をしていたのです。
ところが、スクールに行くことを決めた直後にうつ病の症状がぶり返し、きついイライラ感に襲われるようになりました。
今もまだ調子が良いとはいえない状態なので、スクールに行くことは保留にしているのですが、ご本人は、スクールに行くことが挫折したことや、良くなるかも知れない希望が遠のいたことなどに焦りとイライラを持っているようです。
「私のカウンセリングがまずかったのではないか」というのは、このクライアントさんにどこか【「希望」という幻覚】を与え過ぎていたのではないかということです。
よく、うつ病患者さんが回復途中のときは、「励ましの言葉をかけてはいけない」と言います。
その点には注意をしていたつもりですが、どこかで言葉による励ましが度を越していたのかも知れません。
こんなときは、きちんと医師の指示に従って薬を飲み、とにかく休養を取ることが大事なのでしょう。
「それは分かってました。それは分かってましたが、ただ薬を飲むだけで本当に治るのですか?」
「休養を取れと言うのは、何もするなということですか?」
「薬を医師の指示に従って飲むことが大事というのは理解できています。“精神疾患の薬は飲まない方が良い”と安易に言うつもりはありません。しかし、薬を飲むだけで治るとは絶対に思えません。だから、私たちにできることは、ただひたすらクライアントさんの話を聴くこと。例え幻覚ではあっても、少しだけでも【希望】の言葉を投げかけることだけです」
誰に言うこともなく、こんなことを頭で繰り返しながらカウンセリングを続けてきました。
実際、「薬」について、【銀河街の悪夢】でフカセさんはこう言っています。(フカセさんは精神疾患で隔離病棟に入院した経験のある方です)
精神を安定させるアイツの魔術は
苦しみだけじゃなく楽しみも消してく
憂鬱を抑えてくれるアノ子の呪いは
絶望だけじゃなく希望も無くしてく
あぁ僕の身体が壊れていく
「いいかい君は病気だから」とお医者さんがくれた
この薬を飲んだなら深い眠りに堕ちるんだ
明日また起きたら何か始めてみよう
だから今日はいつもより早く起きてみよう
だけど起きれなくて夕日が沈むんだ
こんな辛い日々もいつか終わるかなぁ
「薬」も一歩間違えば、全ての気力を奪ってしまうのですね。
「明日また起きたら何か始めてみよう」と希望を抱いて、「起きれなくて夕日が沈んでいる」シチュエーションなんて、辛すぎるでしょう!
先ほどのクライアントさんも睡眠障害に苦しんでいて、朝方に寝入って昼間起きるということがずっと続いています。
彼女の苦しみを少しでも理解しようと思って【銀河街の悪夢】を聴いているのですが、ふと、この歌は健常者の自分達にも何かメッセージを投げかけているのではないかと思えてきました。
自分達も、「明日を夢見ることができず、先が不安で希望が持てない」ことはよくありますが、「その状態からどう脱したら良いのか?」と訊かれると返答に困りますね。
そう、そういう不安が生じても、いつもたいていはやり過ごしていて、それで何とか解決していたのです。
それができるから健常者なのでしょうが、精神疾患で苦しんでいる人は、「この苦しい閉塞状態からどう脱したら良いのか?」という疑問への明確な答えが欲しいのだと思います。
おそらく「その答え」は、当人自身が見出さなくてはいけないものでしょう。
しかし、「その答え」は、「その答え」をはっきり掴むことができていない健常者へのメッセージになり得るものだと思います。
私はカウンセリングをしていて、そのメッセージを楽しみにしているのです。
私も「その答え」を掴むことができていない人間の1人ですから、カウンセリングによってクライアントさんが「その答え」を教えてくれるのが楽しみなのです。
先ほど例に出したクライアントさんからも、「その答え」がもらえることを楽しみにしています。
カウンセリングは決して、「その答え」を知っていると思い込んでいるカウンセラーが、それをクライアントさんに強要するものではありません。
私は「その答え」が解らなくても、「変りたくても変われない者の苦しみ」を深く理解できるカウンセラーになりたいと思っています。
私の理解など、クライアントさんの苦しみには遠く及ばないかも知れませんが、理解しようとすることが、「その答え」に触れるチャンスを、私やクライアントさんに与えてくれるのではないかと思っています。
そこで、【銀河街の悪夢】に見るフカセさんの「その答え」はこうなっています。
明日を夢みるから今日が変わらないんだ
僕らが動かせるのは今日だけなのさ
今日こそは必ず何か始めてみよう
応援はあまりないけど頑張ってみるよ
明日を夢見るから今日が変わらないんだ
僕らを動かせるのは自分だけだろう
そんなことわかってるんだろう
強くなれ僕の同志よ
この部分のフレーズを聴くと、「もがきながら言い知れぬ苦しみから抜け出した者の言葉」に心が震えます。
精神疾患に苦しんだ人々のメッセージには、この「震え」があるんですね。
だから健常者に強いメッセージが与えられるのだと思います。
「今日こそは必ず何か始めてみよう」と言っています。
「ゆっくり休みましょう」とは言っていないんです。
もちろん、「ゆっくり休養が必要」と思う人は休めばいいし、「何かやりたい気分」の人は、やれるものを探し始めれば良いのです。
最近、重い腰を上げて「何か始める」というときに、すごく参考になりそうな本を見つけました。
『今すぐ変わりたい人の行動イノベーション』
この本の主旨は、「“10秒アクション”を習慣づけること」の積み重ねが人生を変えるというものです。
「10秒アクション」というのは、「10秒でできる簡単な行動」と言う意味です。
例えば、「うつ病を治したい」という目標がある場合、うつ病になった人がやった方が良い行動というのがいろいろあります。
しかし、うつ病で苦しんでいる人は、そのほとんどができていないと思います。
それならば、数ある行動の中から10秒でできるものを選び、これだったら少しは気分が良くなるかもしれないと思われる行動を1つだけ決めて、それを習慣づくまでやるのです。
例えば、外に出てウォ―キングをするというのが良いと思えば、「10秒ではウォ―キングはできない」と考えるのではなく、たいがいウォ―キングを億劫に思ってしまうのは、家を出ようとする直前だと思いますので、「夕方5時になると、家の外に出てウォ―キングに出発する」と決めるのです。
この行動だけなら10秒でできるはずです。
とにかく、このような「希望を生む小さな行動」を始めてみることが、「何か始める」ことの一歩ではないでしょうか。
その「小さな行動」が希望を生むのかどうかは分かりません。
ただ、「“小さな行動”が始まらなかったら希望は生まれない」ということは言えるのではないでしょうか?
明日を夢みるから今日が変わらないんだ
僕らが動かせるのは今日だけなのさ
フカセさんのメッセージ、改めて考えてみてはどうでしょう?
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