『相席で黙っていられるか』の読後感想もこれで最後です。
この本は、ご紹介した以外にも研究者らしく冷静に、そして偏見なく、客観的に「ことば」を比べ考えておられるのですが、第一章 何のためにしゃべる?のP30で、新井一二三氏の『中国語はおもしろい』の一節を紹介しています。
新井一二三氏は、中国語は「包容力のある言葉」だと言い、次のように続けている。その通りだと思う。
そもそもの成り立ちからして、各地方出身者間の意思疎通という目的をはっきり持っているので、中国人の耳は、減点方式ではなく、加点方式で相手の言葉を聞く。つまり、「あっ、間違った」「また訛っている」と、欠点をあげつらうような、意地悪な聞き方をしない。反対に、「たぶんこうだ」「きっとそういう意味だろう」と、聞き手が積極的にコミュニケーションに関与してくるのだ。
(新井一二三『中国語はおもしろい』講談社現代新書、二〇〇四年、四二ページ)
中国語は「包容力のある言葉」。
昨今の中国の発言を見聞きすると、どこが包容力があるのか?と思われるかもしれないけれど、これは
でご紹介したように、中国人は何か立場を背負うとりきむのでしょう。
これは中華人民共和国というある種特殊な環境の中で生き残るためのすべなのかもしれませんし、中華圏に共通する傾向なのかもしれませんが、中国語や中国人が包容力があるというのは私自身何度も体験しています。
ある中国人が「中国人は“好客(客人が好きだ)”だ」と教えてくれましたが、実際、仕事などでどこかを訪れた時にはこれでもかこれでもかとおもてなしをしてくれます。
これは中国語という言葉の背景として、厳しい世の中を生きてきた中華系の人々の知恵なのかもしれませんね。
やっぱり、物事は一面しか見ずに判断するのは避けた方がいいですね。
そして、何事も減点法ではなく、加点法で考えたいと思います。

