【2】量子と波動 | 沈黙こそロゴスなり

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アインシュタインの相対性理論によって、一度は闇に葬られた「エーテル」は、量子の研究が進み、その性質が明らかになるにつれて、再び注目されるようになってきました。

それは、量子が粒であると同時に波動であるという性質が実験によって、疑いの余地のないものとなったからです。


量子が粒であり波動であることが発見されたのは、今から一世紀も前のことで、トマス・ヤングによるものでした。
わずかな光が通過する2つのスリットの向こうに感光紙をおくと、波紋のような干渉縞が写し出されたのです。

このことは光が波動というかたちで空間を伝わることを意味していました。

海の波を思い出して欲しいのですが、水面に起こる波は、水が動いている現象です。
波そのものが水であることはありません。

光が波として空間を伝わるには、媒介となる「何か」が空間を満たしていなければならず、当時の科学者たちはそれを仮に「エーテル」と呼んだのです。


この光の実験はさらに不思議な結果を招きました。

2つあるスリットの片方を不規則に閉じたり、開いたりすると、感光紙に波紋は現れず、2つのただの光があたったシミしか写らないのです。
これは光が波動ではなく粒子として振る舞うことを意味しています。

この実験は後に電子を使った、より精密な装置で確認されることになりました。

2つのスリットに向けて電子が1粒ずつ発射されるようにすると、時間がたつにつれて、やはり同じように干渉縞の波紋が描かれるのです。
これは1粒の電子が波動という形で、2つのスリットを同時に通り抜けていることを意味します。
ところが、今度は片方を不規則に閉じたりすると干渉縞は現れず、2つの電子の当たったシミが残るだけなのです。
つまり、スリットが1つだけの時は、電子が粒として振る舞い、しかも一度粒子として振る舞いはじめると、途中でもう一方のスリットが開いても、粒子のままになるわけです。

さらに不思議なことに、この実験の結果は、実験がはじまる前から決まっているということなのです。

実験者が実験の最後までスリットを開けたままにしようと決めていると、光や電子はみごとに波紋を描くのですが、実験の途中でスリットの片方を閉じようとしていると、閉じるタイミングが実験の最後になろうと、決して波紋は描かれないのです。

これはまるで量子は実験者の考えを始めから知っているかのようです。
このことは長い間、量子力学の謎とされていました。
その間に科学界はアインシュタインの相対性理論に席巻され、量子の不思議な振る舞いはまるで、非科学的なオカルトのように扱われてきたのです。

この考えを覆したのは、ジョン・ウィラーの仮説とキャロル・アレイの実証実験によるものでした。
これは「遅延選択の実験」と呼ばれました。
特殊な観測装置を使って、発射された後の量子の振る舞いに、観測者が影響を与えられるかどうかを確かめようというものだったのです。
その結果は驚くべきものでした。それは観測者が過去にさかのぼって、量子の振る舞いを決定できるというものだったのです。

極端な例として、何億年も離れた星から届く光を、波動とするのか、粒子とするのかは、観測者側が決定できる、しかもそれはその光が発射された何億年も前にさかのぼって…、ということを意味します。

例えて言えば、量子の世界においては過去にさかのぼって結果を変えられるということなのです。

この明らかな実験結果は多くの科学者に衝撃を与えました。

この実験結果の意味はとてつもないことを表していたからです。
それは例えて言えば、「誰も見ていない時の月は存在しない」ということに等しいからです。

そうです。
物質は量子の領域においては、物質にも非物質にもなり、しかもそれを決定しているのは見る側なのですから!