​魔女とレヴィ第1話 十六夜の魔法 


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光の帯に縛られた妖精が、低く唸るように震えていた。

レヴィはその様子をしばらく見つめ、短く息を吐く。


「……おかしいな。ここまで荒ぶるのは、ただの不調じゃない、何か。」

「何か……って、何のこと?」

「“大気”が乱れている。誰かが、触れてはいけない領域に触れた。」


百合夜が問い返そうとした、その時――


「ママー! ただいまー!」


門の方から、明るい声が響いた。

小さな足音が駆けてくる。


その瞬間、空気が裂けた。


「っ……!?」


白い衝撃が風の中から放たれ、一直線に門へ向かう。


「大樹!!」


百合夜が叫び、駆け出す。

レヴィは反射的に手を掲げ、淡い光を纏う風を放った。

爆ぜるような音とともに衝撃が弾かれ、風が逆流する。


ハーブの香りが渦を巻き、セージの葉が宙を舞った。


「……子供にまで、手を出すつもりか。」


その声は低く、怒気を抑えた静けさを帯びていた。

黒い瞳が妖精を射抜く。

風がざわめき、光の帯がさらに強く締め上げる。


「やめて、レヴィ!」


百合夜が駆け寄り、レヴィの腕を掴んだ。

息を切らしながら、それでもまっすぐに見上げる。

「お願い……この子、悪意なんてないの。

 きっと、何か理由があるはずだから――話を聞いてあげて。」


レヴィは無言のまま百合夜を見た。

風が静まり、彼の髪が微かに揺れる。


「……お前は、いつもそうだな。」


呆れたように言いながらも、その声は少しだけ柔らいでいた。

光の帯がゆっくりと緩み、妖精の身体を包む輝きが大気に溶けていく。