台湾の文学作品のドラマ化&映画化③『孽子』 | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

台湾華語は研究中(専門)、台湾語は独学中、台湾へはいつも一人旅!の、たまりが、台湾華語と台湾語、台湾旅行と台湾映画と台湾ドラマ、台湾文学について語り尽くします。詳しい自己紹介はテーマ「ごあいさつ」の中に。台湾語と台湾華語の違いについての説明もあります。

台湾ドラマ『孽子(Nièzi)』(2003)も台湾文学の巨匠、白先勇の長編小説が原作。同じ小説が原作の映画版『孽子』(1986)は、時間的制約や公開された時代の社会背景もあってか、登場人物の設定やストーリーがだいぶ変わっていたが、ドラマの方はかなり忠実に原作の世界が再現されている。

『孽子(Nièzi)』は同性を愛する人々の物語である。同性愛をメインテーマにした作品は今でこそたくさん見られるが、実は小説(1983)としても、映画(1986)としても、ドラマ(2003)としても、この『孽子』がいずれも台湾初。

ただし、テーマとしての濃度はそれぞれ小説、映画、ドラマで若干の違いがある。小説では遠慮会釈ない性描写もあるし、男娼行為についてもはっきり言及されているのだが、映画版『孽子』では同性愛的恋愛要素はほぼ無い。映画化されたのが1986年、同性愛に対する社会の認識、理解度がまだまだ低かったからである。

ドラマ化は2003年だが、放映が夜8時からのファミリータイムだったため、「性」に関する表現を原作通りに行うことはできなかった。ただ、そのような時代や社会の制約、制作会社の判断、というだけではなく、ドラマの監督、曹瑞原(『一把青』も彼の作品)と原作者、白先勇の意向もあったらしい。

監督は同性愛の少年たちのイメージをネガティブなものにしたくなかった(だからドラマの英題も「Crystal  Boy」になった)し、白先勇もそれに賛成だったという。

『孽子』は、父と息子の物語でもある。始まりは父親と息子の断絶。というか父親による息子の放逐。高校校舎内での「淫猥行為」が見つかって退学処分を受け、それが原因で父親に家を追い出される息子の阿青。

そして黒夜の王国に住まうようになってからは阿青の友人、恋人、庇護者たち幾組かの父と息子の物語が紡がれ、阿青も話の聞き役、相談相手として静かに係わっていく。