2015年の金鐘賞で監督賞(曹瑞原)や主演男優賞(吳慷仁)、新人賞(連俞涵)などたくさんの賞を取った台湾ドラマ『一把青』。これも台湾の文学作品が原作。台湾文学界の巨匠、白先勇の短編小説集『台北人』の中の一篇である。
『一把青』は単行本で20ページあまりの短い小説。これが31話の大作ドラマに改変されたわけなので、「原作」というよりは「モチーフ」という感じ。曹瑞原監督も語っているように↓、短編小説集『台北人』全体の世界観と時代背景がベースになっている。(このドラマを知るには↓のサイトが最適。とても詳しくてわかりやすいです!)
小説の方は、国民党空軍第11大隊の大隊長、偉成の妻「師娘(先生の奥様という意味)」の視点で描かれている。主な登場人物はその「師娘」と夫の偉成、夫婦にとって息子同然の部下である郭軫と新妻の朱青だけ。台湾に移ってきた後に若い空軍パイロットの小顧(顧くん)はちょっとだけ出てくる。
ドラマではこの5人を中心に人間関係が広がり、国民党軍の空軍パイロットとその家族の物語となっている。舞台は1945年の終戦直後から国共内戦が再勃発した中国(南京が中心)、1949年以降は台北の眷村に移る。台北に移ってからの登場人物たちには次々と試練が襲う。国共分裂に巻き込まれた家族や恋人、白色テロの色濃い影(陰)、没落した士官と戦争犠牲者の亡霊・・・。
見るのもつらい話も多いけど、がんばって見続ける価値のある素晴らしい作品だと思う。そしてこのドラマでも主役は台湾の女性たち。台湾の、時代に翻弄されながらも懸命に生きる女性たち。弱くて強い女性たち、である。
ちなみにタイトルの『一把青』、(日本語だと「一束の緑」)がどこから来ているかというと、朱青が歌った歌の題名《東山一把青》である。「師娘」が音信不通だった朱青と台湾で再会する場面。中国にいた時は質素な女学生のようだった朱青が、台湾の酒場で妖艶に歌う《東山一把青》。
東山哪,一把青
西山哪,一把青
郎有心来姊有心
郎呀,咱倆兒好成親哪ーー
