映画の中の台湾語『白米炸彈客(ライス・ボンバー)』 | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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実際の事件をモチーフに作られた
ドキュメンタリー的社会派映画である。
無戸籍の少女と父親の物語『不能没有你』と構図がよく似ている。

台湾が好きで、台湾の歴史や政治や文学や言葉や
いろいろなことを勉強して
台湾のことが少しはわかったつもりになっていても
上述の『不能没有你』や『看見台湾』、或いは『軍中楽園』、
そしてこの『白米炸彈客(ライス・ボンバー)』のような映画を見ると
実は何もなーーんにもわかってないんだなあと
自分が恥ずかしくなりますね。

『白米炸彈客(ライス・ボンバー)』のモチーフとなった実際の事件とは
2002年から2003年にかけて起こった連続爆破事件である。
彰化の農村出身の青年「楊儒門」が、政府の農業政策や、
弱者切り捨ての不公平な世の中に対してものを言う最後の手段として
自分で小さな爆弾を作っては台北の街で爆破させていく・・・。

DVDのパッケージには次のように書かれている。

  田畑は農家にとってただ唯一の財産でありそして信仰でもある。
  それなのに政府はWTOに加入せんとして  農民に休耕を強いり、
  本来彼らにとって生きる術であった農地を
  政治屋や大企業の取引手段としてしまった。
  楊儒門は農業で苦労して苦労して生きてきた祖父母が
  最後にすべてを失うのをその目で見る。
  そして彼は知る。
  ただ革命だけが台湾の農業に未来を創ることを。  

世の中を恨んで無差別テロを行おうとしたわけでは決してない。
(実際死傷者は出ていない)。
さっき「最後の手段」と書いたが本当にそうなのだ。
最初は新聞への投書から始まり、農林水産省に出向いての陳情、
思いつく限りの穏当な手段で何とか農民や弱者の
(具体的には彼がかわいがっていた原住民の幼い兄弟)
苦境を訴えようとしたのだ。

だが無視され笑われ適当にあしらわれ、
どうしようもなくなって爆弾を作り始めるのである。

主役の楊儒門役の黃健瑋が本当にうまい。
謝欣穎(ニッキー・シエ/ドラマ『白色の恋』のヒロイン)
の演技と台湾語も本当にすごい。
謝欣穎はメイキングでこの台湾語について言及している。
ものすごく流暢な台湾語を話さなければならなかったし
彰化の台湾語なのでまたちょっと癖があるし
かなり苦労したらしい。
監督にそれこそ一言一言直された、と言っていた。
私には地方ごとの特徴や
うまさ下手さの細かいところまではわからないけれど
少なくとも『女朋友。男朋友』で
グイ・ルンメイがしゃべった台湾語のセリフよりは
ずっと長いし多いし、そしてうまい。

というわけで、次回はこの
謝欣穎(ニッキー・シエ)の台湾語のセリフを少し。

それにしてもこの映画
主人公楊儒門に向ける眼差しがとても優しい。
台湾がますます好きになってしまう。