あれはいったい何年前のことでしょうか。
友人Zとふたり、彼女のペンフレンドMさんをたずねて韓国はソウルに遊びに行った。
Mさんには2日目に民俗村や水原(スウォン)などあちこち案内してもらったが、
着いた日と3日めはわたしと友人Zの二人だけでソウル探検。
今でこそハングルはなんとなく読めるが
その当時はまったくできず。ハングルジャングルで、まさにさまよえる子羊だった。
1日目の夜ごはんからつまづいた。言葉できないし、とりあえずホテルで食べようということになったのだが、あまりの値段にあきらめる。
街に出て適当な食堂で食べることにしたものの、うーーん、わからない。
看板が、とにもかくにもすべてがハングル。せめて漢字があれば何とかなるのに、気持ちいいくらいにきっぱりと、ハングルだけ。それらしきお店を見つけても入っていく勇気がなかなか出ない。
やっと一軒、これはもうどう考えても食堂でしょ、それも庶民のための食堂でしょ、
というところを見つけて中に入る子羊二匹。
メニューは読めないし言葉もできない。身振り手振りで「あそこの人が食べてるものください」と注文。それがなんと美味しくて美味しくて。ここにたどり着くまでの苦労がすべて報われたような素晴らしい食事であった。値段も安かった。
でも辛すぎて全部は食べ切れずやむなく残してしまう。持参した『トラベル韓国語会話集』の中から
「美味しかったけど、量が多くて残してしまいました。ごめんなさい」みたいな韓国語のセリフを紙ナプキンに書き写す。
そして会計のときにお店のお兄さんにそれを手渡すとびっくりしてたが読んでくれた。そして「カムサハムニダ」と笑ってくれた。
店の外から中を振り返った友人Z、「あ、さっきのおにいさん、紙ナプキンをポケットに入れたよ!」
心にポっと灯がともる。
ソウルの夜はふけてゆく・・・。