台湾の文学作品、それほどたくさん読んだわけではないが、読んだ中でダントツ好きなのは李昂(リーアン)である。
カタカナにするとあの映画監督のリーアンみたいだが、監督の方は李安(Lǐ Ān)で、作家の方は李昂(Lǐ Áng)。ややこし。フェニミズム文学のホープとして世界的にも知られた女傑だが、みかけは可愛らしい。永遠の女子高生みたいなルックスである。
最初に読んだのは『殺夫』だったか。これも衝撃だったが一番すごかったのが『自傳の小說』。タイトルは日本語への翻訳ではなく、元々のタイトルである。オリジナルの小説に日本語の「の」が使われているのである。
日本統治時代の台湾共産党を率いた女性革命家、謝雪紅。彼女の壮絶な人生を自伝のように小説化したものだが、この面白さを簡単に表現する能力は私にはない。この作品を読んで以来、李昂の虜です。
今現在進行で原作を読んでいるのが李昂のこれもまた相当な問題作、『北港香爐人人插』シリーズ4部作(台湾の民主化運動における性差別の問題に鋭く切り込んだ政治小説)の二つ目、『空白的靈堂』。基本的に中国語で書かれているが、要所要所で台湾語(または台湾語と思われる表現)が出てくる。
例えば、
「大尾的」(tōa bué ê)大物、ボス
「抓耙仔」( jiàu-pê-á)スパイ
「柱仔脚(柱仔跤)」(thiāu-á-kha)選挙の固定支持者
「三不五四」(sam-put-gōo-sî) ときどき、不定期に
いずれも台湾のドラマや映画でよく目にする耳にする言葉ではあるが、知らなければいったいなんのこっちゃ、というような単語である。
あと、会話の文では「彼」や「彼女」は「伊」で書かれていて、台湾語での会話なのだということがうかがえる。
最後に。李昂の小説は、グループでの読書会などには向かない。性描写がものすごいですから、ホント。