LA式ボイストレーニング講師の牧野美佐です。
最初から読んで頂ける方は
【その1】
【その2】
からどうぞ。
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私がヴォイストレーナーになったワケ。【その3】
今日は、私がヴォイストレーナーになるキッカケを作って下さった、
大恩人であるプロミュージシャンのKさんが
代表を務めていたレコーディングスタジオの
アルバイトスタッフとして雇って頂いていた時代の四方山話を・・・・。
スタッフに雇って頂いたのはいいものの、
職場は「プロミュージシャン」や「タレント」さん、
そして「業界関係者」など、「その筋の人」達・・・・(説明は差し控えますが)
所謂「プロ」としてお仕事している人達ばかりだったので、
精神状態としては、異様な緊張感が続いていました。
当時21歳。
この年齢で、そこまで緊張感を感じる毎日というのは、
「今まで甘えて生きてきた」結果だったのか、
それとも、
「その年じゃ人生経験も浅いし緊張して当然だろう」
と思っても良かったのか、
いずれにしろ、私にとってはやや興奮気味で
毎日を過していたように思います。
そんな中、ホッと一息出来る時間、
それは、お昼ごはんの時間でした。
当時のお昼ごはんというのは、
毎日スタジオ内で炊飯器でお米を炊き、
スタッフが近所のスーパーなどで思い思いに
好きなお惣菜とかおかずを買ってきては、
炊きたての白ご飯と一緒に食べるという感じで、
「あ、その唐揚げとコロッケと交換せえへん?」
っていう、ワイワイ和やかなお昼ご飯タイムだったのです。
こういったお昼ご飯の時間に、必ず毎日のようにやってくる訪問者がいました。
それは、クライアントでもなんでもなく、
「ちわ~~~っす!!!」
と、スタジオに入って来て、
「あ、旨そうっすね、このコロッケ。」
と、余りモノのおかずを発見しては、
「え?いいんすか?」
と、炊飯器に残っているごはんをよそい、
「いただきま~す!」
と、一緒に食べている人。
え、
私の知り合いだったんですけどね。
え、
今、私の主人になっている人なんですけどね。
・・・・・・・・・・。
そうやって、毎日私がアルバイトするスタジオに出入りしては、
お昼ごはんを一緒に食べながら、スタッフの人達といろいろ音楽の話しなんかしては帰って行く。
そういう事が約1ヶ月も続いた頃。
「で、あれ誰や?メシ食うて帰ったヤツ。」
とスタジオの代表であるKさんに聞かれ、
「あ、あの・・・、私の知り合いのボーカルやっている人です。」
「ふぅ~ん、misaちゃんの友達かいな。」
「は、はい。・・・(恥)」
「ふぅ~ん。ま、ええか。毎日おかずの残り食べて処理してくれるエエ人って事で!」
Kさん、本当になんと優しい人なのでしょうか!
その訪問者と私は、
当時、一緒に音楽活動をしていました。
彼がメインボーカル、
私はそのバンドのコーラスとして参加していて、
そのレコーディングスタジオの代表のKさんに
私の音楽仲間という事で彼を紹介したかったので、
とりあえず、お昼ごはんの時間が一番お話しやすいのではないかと思って、
来るならその時間に来てもらうようにと言っていたのです。
そしたら、紹介する前にその訪問者は、
「あ、旨そうっすね、このコロッケ。」
とか言うもんだから、
「良かったら残っているおかず食べる?」
みたいな話が先行してしまい、
1ヶ月近く紹介できぬまま、
「お昼ごはんの時間になったら必ずやってくる人」
という印象が、代表のKさんには強烈に残ってしまったのです。
ある時、
また、その訪問者がお昼時にやってきて、
「あ、旨そうっすね、このコロッケ。」
みたいな事になって、話している時に、
スタッフのひとりが、
「ところで~、キミはうちのスタッフでもないのに、なんで毎日お昼ごはんの時間になったら来てるんや?」
続けて、
「いや、来たらアカンとか困るとか、そういう意味ちゃうねんで、来てもらうのはエエねんけど、キミは一体誰なんやろかと思て・・・。」
と、その訪問者に聞きました。
「あっ、えっ、その、・・・・。」
と、どこから説明しようか彼が考えていると、
代表のKさんが、
「な、自分、misaちゃんの音楽仲間やんな!え~~っと、ギタリストやんけ~!知らんかったんか?みんな!」
と、まるでその訪問者をかばってくれているかのように発言してくれました。
「あ、あの・・・、一応ボーカリストって先日お話したかと・・・。」
と、私が小声で言うと、
「なに!そんな事言うてたか?ホンマか!ど~でもエエけど、ほんで、どんな音楽やってんねんキミは!」
「そんなん、早よオリジナル曲の音源かなんか持ってこんかぁ~!」
という事で、
その日、やっと、その訪問者は、
スタジオ代表のKさんに
「ボーカリストである」という事と、
「こういう感じの音楽をやっています」という事を、
お話する事が出来たのでした。
すると、そこから話が進むのは早く、その訪問者のオリジナル曲音源を聞いて下さったKさんは、
「うちのスタジオでいろいろ勉強するといい」
という事で、スタジオの空いた時間に、曲を仕上げていく作業や歌の録音などをその訪問者のバンドにさせてくれる事になったのです。
その訪問者にとっても、私にとっても、
バンドメンバーにとっても、非常に幸運な事でした。
そして、その時に吸収出来た諸々の事は、ヴォイストレーナーとして活動する上においても、
一生の宝物となっています。
それは、人をどう指導していくかという観点でも、私達がその当時のKさんから学ばせて頂いた事は
計り知れません。
若い頃は、少々
「あ、旨そうっすね、このコロッケ。」
的な精神があってもイイんじゃないかと・・・、
当時の事を思い出しながら書いていて、ふと感じました。
では、今日はこの辺で!
