真魚達は空の上から捜していた。
満月と雖も辺りは暗い。
「これだと見えない…」
奏に焦りがある。
そのものの姿を、目で捜そうとしている。
「見ようとするな、感じてみろ…」
真魚が奏に言った。
三人は目を閉じた。
そして、そのものの波動を捜した。

「真実が見えるとは限らない…」
「ゆったりとした、重い波動が存在するはずだ」
重い波動。
真魚はそう表現した。
高き波動は細かく早い。
低き波動は大きく遅い。
「これ…なの…」
響が見つけたようだ。
「ほんとだ…」
奏にもそれが伝わる。
「俺にも…分かる…」
最後に稜が見つけた。
「大したものだな…」
嵐が感心していた。
「真魚と嵐は分かっていたんでしょ!」
奏が目を開けて抗議した。
「試したんでしょ…」
響の手が嵐を叩く。
「分かればいいではないか!」
嵐が速度を上げた。
「いた!あそこよ!」
奏と響が同時に叫んだ。
「面白いな…お主ら…」
嵐が笑っている。
思った通り神社に向かっている。
だが、奏と響の声が聞こえたのか、その場で止まった。
「気づいたか…」
真魚が笑みを浮かべた。
「嵐、このままゆっくり神社まで飛んでくれ…」
「奴をおびき出して、どうする気だ…」
嵐が真魚の指示を気にしている。
「もう一人、真実を見なければならない者がいる…」
「あの祈祷師か…」
「そうだ…」
「なるほど…」
「お主…世話好きにも程があるな…」
嵐が呆れながら笑っていた。
「わしはこの辺りで様子見といくか…」
前鬼は神社の木の上に座っていた。
「真魚殿はどうやって折り合いをつけるのか…」
前鬼はその事を考えていた。
闇の中に閉ざされた想い。
三人にとっても、辛い記憶となるだろう。
それでも、三人はこの道を選んだ。
「媼さんの話もそろそろ終わったころじゃろ…」
「後は、奴が来るのを待つだけか…」
前鬼が満月を見ている。
「哀しい月夜になるかも知れぬ…」
その月を見てつぶやいた。
「おっ、ご到着か!」
その月の側に、一筋の光が輝いた。
その光が真っ直ぐこちらに向かって来る。
前鬼は直ぐに木の上から飛び降りた。
真魚達が神社の境内に降りた。
社の前では後鬼と埜枝が待っていた。

続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-