森の中を抜け、華音の家に向かっていた。
いつの間にか太陽が昇っている。
「これからどうするつもりじゃ?」
嵐が心配そうに聞いた。
「どうするって…」
華音が考え込んでいる。
「一人ではな…」
真魚が言った。

「もう誰もいない…」
華音は考え込んでいる。
母が亡くなったばかりだ。
このままでは華音が心配である。
「父がいるのではないのか?」
真魚が華音に聞いた。
「生きているのか?」
嵐は気づいた。
「母は父は死んだと言った…」
「だけど…」
華音の心が揺らいでいる。
「生きているのか?」
真魚が疑っている。
「母には、事情があったのではないのか?」
真魚はそう感じていた。
「もし、生きていても会えない!」
「私のこの姿を見れば逃げるわ!」
華音は想いの全てを撥ね除けた。
「母親は何か言っていなかったか?」
真魚が華音に聞く。
「母は出雲の出身みたいなの…」
「いつもあの場所に立って、出雲の方を見ていた…」
「だからあそこにお墓を作ったの…」
母の本当の気持ちを感じていた。
華音は目を伏せた。
「まあ良い、続きは家に着いてからじゃ」
嵐が華音の様子をみて気を利かせた。
「出雲か…」
真魚には一つ思い当たることがあった。
父が逃げたのではなく、母の方から逃げたのではないか?
命の危険があったのかも知れない。
母が華音を連れ去ったのでは…。
真魚はそう考えていた。
真魚は家の中で、華音の母がこの島に来た
理由をたどっている。
どの考えの先にも、一つの事実が見える。
「奴らの力が必要かも知れぬ」
真魚はそうつぶやいた。
「奴らとは奴らのことか!」
嵐が気にしている。
「そうだ、奴らだ」
「ひょっとして…」
嵐が畏れていた事実。
くくくくくっ…
くくくくくっ…
誰かが笑いを堪えている。
ひゃひゃひゃは~~
馬鹿笑いが聞こえた。
「どうやって海を渡ったのじゃ?」
嵐に一つの疑問が浮かぶ。
その声は華音の家の大木の上で聞こえている。
華音には何のことだかわからない。

「さっき羽の音がしたわ」
華音がそれを聞いていた。
「羽…そうか!」
嵐は気づいた。
一度見たことがある。
奴らは一体化出来る。
それを思い出した。
「そうか…飛べるのか…」
「だが、俺ほど速くはなかろう」
嵐が自慢げに事実を言った。
「誰なの?」
姿の見えない奴らに華音が警戒している。
「心配するな、連れだ」
真魚が声をかけた。
「前鬼と後鬼と言うしょうも無い奴らだ」
嵐が改めて紹介する。
「しょうも無いだと!」
後鬼が怒っている。
「すまんが、わしらも入っても良いか?」
後鬼が家の外から声をかけた。
「もう、どうでもいいわよ!」
華音はわけが分からなくなってきた。
続く…
-この物語はフィクションであり、史実とは異なります。
実在の人物・団体とは一切関係ありません-