第1話「結界のちから」
テンマルシェに出店します
場所は東京ビックサイト
詳細は文末にて
母の誕生日にお花を持って
会いに行ったお話は
先日ここに書きました
お花とは違うお話です
施設の廊下を歩いていくと
母のベッドの脇の窓から
うすく青い空が見えた
桜がほんのり色を残していて
綺麗だな、と思った
それだけで
なんだか来てよかったって思えた
母の顔を見ると
何かほっとする
いつもそう
母の顔を見た瞬間
ふっと肩の力が抜ける感じがする
でも、その日は少し違った
同じ部屋の方が
大きな声を出していたの
怒っているわけじゃない
緊急事態でもない
ただ、ただ
その方の世界の中でのこと
でもその声が
部屋中に響いていた
悪意がないのはわかってる
わかってるんだけど
せっかく母とゆっくり話したい
氣持ちが
強風に揺れる蝋燭の火みたいに
ぐらぐらしてしまった
そのとき
ふと思いついたことがある
「そうだ!結界を張ろう」
スピリチュアルな話って
思う人もいるかもしれない
でも私にとっては
もっと感覚的なもの
母と私の周りに
薄くて透明な膜を張るイメージ
外の音や空氣を
そのまま受け取るのではなく
一枚フィルターを
かけるような感じ
ちょうど
嵐の日に窓を
そっと閉めるみたいに
外の風雨は続いている
でも、こちら側は静かでいられる
目を閉じるわけでも
何かを唱えるわけでもない
ただ
「ここは私たちの時間」って
心の中でそっと決める
それだけ
不思議なことに
しばらくすると
あれだけ響いていた声が
だんだん遠くなっていった
実際に声が小さくなったのか
私の受け取り方が変わったのか
正直わからない
でも体感としては
長い雨がようやく
上がったときみたいな静けさが
ふっと訪れた
母との時間が
また穏やかな川の流れに戻った
帰り道
ひとりで考えた
結界って
日常のいたるところで
必要なのかもしれない
電車の中で誰かのイライラを
もらってしまうとき
職場でネガティブな空気に
飲み込まれそうになるとき
SNSを開いて
知らない人の怒りが
するするっと自分の中に
入り込んでくるとき
そういうときに
「ここから先は私の領域」って
静かに線を引くことが
自分を守ることになる
頑丈な鎧を着ることじゃなくて
柔らかくて見えない膜を持つこと
それが私の思う
結界のちから
母はその日
なんだかいつもより穏やかに見えた
氣のせいかもしれない。
でも、
氣のせいでもいいと思ってる。
▶︎ 第2話「結界は、日常にある」※近日公開
▶︎ 第3話「私の結界、あなたの結界」※近日公開
※第2・3話は順次公開予定


5月9日(土)テンマルシェに出店
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