オンラインセミナー「 読みに困難のある子どもたちに公平なテストを」と、ちりめん本セミナーに参加 | しゃっぴいおばさんのブログ

オンラインセミナー「 読みに困難のある子どもたちに公平なテストを」と、ちりめん本セミナーに参加

2025年7月18日、日本DAISYコンソーシアムとJEPA共催の「  読みに困難のある子どもたちに公平なテストを:アクセシブルCBTとPNPの可能性」を聴きました。

目の不自由な方へのデイジー教科書は、ルビ表示、音声読み上げ、文字サイズ調整といった機能を備えて提供されつつあります。

でも、試験となると、どうやって受けているのかなあと思っていました。

時間を延長してもらったり、別なお部屋で受けたりと、それなりの配慮はしてもらってはいるのかなあ...

 

今回のセミナーは、もう一歩踏み込だ、コンピュータを使った試験の方式であるCBT(Computer Based Testing)のお話でした。

勿論、CBTなんて初めて聞く単語で、日本国内ではほとんど議論も実践もされていない分野なんだそうな。

でも、欧州ではすでに、CBTのアクセシビリティは重要な社会的課題とされていて、2025年施行の欧州アクセシビリティ法(EAA)によって、未対応のCBTは訴訟の対象となる可能性が指摘されているのだそうです。

セミナーでは、CBTにおけるアクセシビリティの国際的な動向と、日本における具体的な実現可能性について紹介されました。

・教科書からテストへ:QTI 3とPNPがひらくアクセシブルな評価環境   村田真氏
・日本語デイジー教科書の知見を活かしたPNP拡張とQRコード連携  工藤智行氏
・Yasashi QTIによる問題作成とAmp-up PlayerでのPNP対応テスト実行  李在範氏

 

ディスレクシアなどの読みに困難を抱える受験者に向け、WordやExcelから簡単にアクセシブルなテスト問題を作成できるYasashiQTI(やさしくて)の説明の中で、特に印象深かったのは、「YasashiQTIは、ちっともやさしくない!」と言い切ったこと。

ソフトにいろいろな機能を持たせればそれだけ複雑な手順が必要です。

排除するものはできるだけ排除し、YasashiQTIはできる機能を駆使すことに特化しているとのこと。

まだ実験段階だそうですが、アクセシビリティもこんな感じで実現していってるのだと感じました。

そして、もう一つは、紙の受験用紙に添わせないこと。

これは、LLブックの読み本の時にも感じたことで、受験問題は紙から離れて作る必要があります。

気になった方は、覗いてみてください。

JEPA|日本電子出版協会 2025年7月18日 読みに困難のある子どもたちに公平なテストを:アクセシブルCBTとPNPの可能性

 

そして、昨日は、銀座の生き字引のHさんの紹介で、関内の横浜指路教会で開催された「ちりめん本出版活動と3人の宣教師たち」の研究会に参加してきました。

尾崎るみ氏は、ちりめん本の研究者で、タムソン、ヘボン、ミラーと3人の宣教師に特化して、ちりめん本の成り立ちや本の構成などの話をされました。

ちりめん本とは、手すきの和紙に、まず木版印刷で挿絵を、次に活版印刷で文字を印刷し和装本です。

長谷川武次郎が、明治十八年から明治二十五年にかけて、日本の昔話を外国語に翻訳した『日本昔噺』シリーズ(Japanese Fairy Tale Series) 二十巻二十一冊を刊行しています。

詳細は、こちらのブログに書いています。

本の紹介『ちりめん本とジェイムス夫人』 | しゃっぴいおばさんのブログ

印刷した後に、和紙をちりめん上に加工するので、元の大きさの80%ぐらいの大きさになるとは聞いていましたが、実際に目にしたのは初めてです。この紙は、70%ぐらいになっているかも。

研究会のあと、実際にちりめん本を見せてくださいました。右が平本(普通の本)、真ん中がちりめん本。

中はこんな感じ。

私は16歳のときの両手首骨折の交通事故が今頃になって災いして、両方の手の小指を除いて指はみんな痺れてマヒしています。

それでも、元の平紙よりちりめん紙のやわらかい手触りは感じました。和紙だからこそできた技術です。

ちりめん本の大きさは、お土産にはピッタリのサイズだったのでしょう。

裏表紙を見て、2冊の本は微妙に版の違いがあることがわかりました。

長谷川武次郎以外にもちりめん本を作成した人や、木版印刷の挿絵と活版印刷の文字を結合した人はいたようです。

但し、コーディネータとして優れた才能を持っていた長谷川武次郎は、人的ネットワークで優秀な翻訳者に翻訳を依頼。

絵図と甲板印刷の構成なども厳しく注文したちりめん本は、レベルが群を抜いているのだそうな。

日本人を翻訳に使わなかったことにも、武次郎のこだわりを感じます。

翻訳された外国語は英語だけでなく、30か国以上に翻訳されています。

面白かったのは、1冊だけ1か国で翻訳されている本があり、その国の環境や事情から選んでいたのかもしれません。

挿絵についても、西洋の影響を感じて描いていた様子が伺えました。

 

ちりめん本がこれだけ輸出されたのには、浮世絵をはじめとするジャポニズムへのあこがれが根底にあったようです。

質疑応答の中で、教会での怪談は宗教的に御法度と言われた例を出し、おとぎ話が何故受け入れられたのかとの質問がありました。

切り口が違うと違う見方が出来るのだと、ちょっと意外な質問でした。

なお、それについては、ファンタジーとして受け入れたのではとのことでした。

チェンバレンは日本の古事記などにも精通していた人だから、文章が堅め。

以後、同じ物語を翻訳したチェンバレン夫人の文章は、優しく書いていると、翻訳者の違いにもふれました。

 

数か月前までは、ちりめん本の名前さえ知らなかったのに、Hさんのおかげで一つ知識が増えました。

Hさん、誘ってくれて、ありがとうございました。

 

それにしても、暑かったねえ~