さて、

祖父専用大型スピーカーとして

現在活躍中(自分で言うな)の私。


耳の遠い祖父のため音量は常に最大。

ほとんど辻説法状態で

本を読み進めていくわけですが

こんな騒音公害真っ只中でも

さすが大物、祖父は居眠りを始めるわけです。


しかし祖父が眠りに落ちてしまったら

私にそれ以上ページを進める理由はございません。

祖父のイビキを確認し

本を閉じて静かに病室を出たのですが、

その10分後、祖父は目を覚まし

「・・・何故あいつがいない」とご機嫌斜めに。


病室に呼び戻される私。


「お前、何故途中で本読むのやめて

どこかに行っちゃうんだ、駄目だろ」

「お祖父様がお眠りあそばしたからじゃないですか」

「いや、俺は寝ていない」

「イビキかかれてましたよ」

「イビキなどかいた覚えはない


威厳を持って断言する祖父。


これ以上言い争っても

私の負けは目に見えているので、

気を取り直して朗読再開。

10分ばかりたつと

またあのグーグーという音が。


祖父の顔をのぞきこむと、

呼吸音は確かにイビキなのですが、

しっかり目は開いていらっしゃいます。

そして私の視線に気がつくと

小さく頷き、意識明瞭であることを証明。


それならばと朗読を続ける私。

しかし響き続けるイビキ音。

ページを繰りつつもう一度祖父の顔を見ると、

祖父はしっかりとこっちを見据えて

俺は起きているぞと目で訴えています。

朗読を続ける私。


・・・しかしご自身がこんなに大きく

グーグーと音を発し続けていては

私の声など聞こえないのでは?と

またも祖父に目をやると。


祖父は目を見開いたまま熟睡していました。


両津勘吉のようなこの根性

(今ちょうど弟から借りて読んでいるのでつい)。


さすがに戦中派は違うなと思いつつ

私は再び本を閉じたのでした。