近所の和菓子屋さんに行くと、竹の筒に入った羊羹が売っていた
(こんなやつ)
今から15年前、当時の上司が偉い人のところに挨拶に行くというので、ドライバー兼カメラマンとして私がついていくことになった
偉い人というのは本当に誰でも知ってるような方だったので、スーツも新調して緊張しながら湯河原に向かう
車の中でさんざん上司に脅される私
まあそうはいってもただのドライバーだし、上司を送ったら写真を何枚か撮って車で待っておけばいいだろうとたかをくくってた
山荘につくと、綺麗な女性が門の前で迎えてくれた
そこからさらに車で進むと、平屋の建物が見えた
仰々しく迎えられた我々は庭に面した部屋に案内される
行きがかり上私も客扱いになり、偉い人と上司の話す場に同席することになった
二人は挨拶から世界情勢や陶芸の話などをしている
そんな中、私は一人大問題に直面していた
それが冒頭の竹に入った羊羹の食べ方である
お茶受けにくだんの羊羹が添えられていたのだが、残念ながら食べ方がわからない
と、偉い人が竹をひょいと持って口に咥えた
なるほど!ちくわみたいに咥えて吸ったら出てくるのね
私も真似をして竹を咥えて吸うが、中の羊羹は出てこない
これは本気で吸わないと出てこないのかと赤い顔をしてキュウキュウ吸っていると、偉い人が「あ、これは失礼」と私に牛乳瓶のキャップを外すやつを渡してくれた
(これです)
偉い人「これで竹筒の底に穴を開けるのです」
アンプ「あっ!なるほどですね」
早速穴を開けると確かに軽く吸うだけで羊羹が出てきた
アンプ「ちゅうちゅう、これは美味しいです」
偉い人「それはよかった」
さて上司はどうしてるのかと見ると、竹のナイフでシュッと皿に出して、トントントンと綺麗に切って食べているではないか
上司はナントカ流の家元直参というお茶の先生でもあったので、たぶんこっちが正解なのだろう
帰りの車の中で、上司に散々いじられる
上司「おまえ竹輪みたいに羊羹食ってたな、わはは」
アン「だって偉い人がそうやって食べてたんで、そういうもんなんかと思うじゃないですか!」
上司「あのお方は別や。何してもそれが正しいんやから」
あれから15年
目の前の竹筒を恭しく手に取り、付属のピンで筒の底に穴を開ける
トンと皿に当てるとするするっと羊羹が出てきた
これをナイフで切るのか、あっ!
もう一度竹筒に羊羹を戻す
一口目は15年前のようにちくわみたいに咥えて食べてみた
その後皿に出してトントントンと切って食べてみたが、やはりちくわみたいに食べた方が美味しいぞ
偉い人のすることは何してもそれが正しいんや
上司の言う通りでした



