算数の『特殊算』というフレーズ、聞いたことがありますでしょうか?
SNSで算数に関連する情報を眺めていますと、この『特殊算』という言葉をかなり見かけます。保護者の間でも算数の話をする際、割と違和感なく特殊算という言葉が使われているようです。
しかし私は最初、『特殊算』という呼び名をSNS上で聞いて「なんだそりゃ!?」と思いました(笑)
少なくとも私の指導人生の中で特殊?な計算?算術?という認識のものはそれまで無く、そしてよくよく情報を集めると、どうやら和差算や差集算やつるかめ算などのことを総じて『特殊算』と呼ぶそうじゃありませんか。
それが分かったとき、正直私は残念な気持ちになりました。
算数や数学の土台中の土台となる考え方や動作、ものの見方に関する的確な体系的分類を、世間一般には『特殊』なものとして捉えられてしまっているのか…と。
これを受けて、
「そうですよね、和差算とか差集算とか不要で、ぜんぶ方程式を立てて解けば良いですよね!」
と言ってしまう人もいるのですが、残念ながらそれも全く違いますし、このセリフを仰る方で優秀な指導者を見たことがないというのが正直なところだったり…。
最終的に抽象的理解へともっていくために、むしろ○○算といった分類は導入学習として大変優れている、と私は思います。そして、算数すべての考え方の根幹に相当するので、実質『特殊』なものでは全くないです。
それぞれがとても重要な思考と動作を示唆してくれていて、小学生が少しずつそれらを学んでいく、というプロセスを経る上で非常に適切で秀逸な分類、それが○○算の正体 です。
では、それぞれどんな考え方を学ぶべき単元なのか、まとめていきたいと思います。大きくは4つに分けることができます。
【1】和差やその変化に注目したり、大きさをそろえたりして処理
①和差算→差を削ったり加えたりして大きさそろえる
②差分算→1メモリあげれば2メモリ差がちぢむ
③差集算→差があつまって全体の差
④過不足算→余りや不足条件を利用する差集算
⑤つるかめ算→差がだんだん縮まっていく
⑥消去算→大きさそろえて差をとって消去、または代入して消去
⑦平均算→大きさを平らにならす
⑧集合算→表、ベン図、グラフを利用して統計処理
【2】比割合条件を処理
①相当算→分数などの割合条件を比で処理
②分配算→複数の割合条件や和差条件を処理
③倍数算→比の変化を比例式で整理(和一定、差一定など特殊な条件があるときはそれらを優先的に考慮)
④年令算→差一定など差に注目する倍数算
⑤やりとり算→和一定やフローチャートを利用する倍数算
⑥濃度算→濃さの処理
⑦商売算→原価定価売価利益といった値段の処理
【3】単位あたりの量を処理
①旅人算→速さの意味を知る
②通過算→長さあるものの動きは一点注目
③流水算→他者からの力の影響
④時計算→角速度を利用する
⑤仕事算→仕事をする速さに関する処理
⑥ニュートン算→出る量と入る量の差に注目する仕事算
【4】規則性の処理
①植木算→木の本数と間の数の関係性を利用
②方陣算→整列したものの個数を数える工夫
以上になります。全23種類になります。
これらの考え方がベースとなって、色んな問題に立ち向かうことができます。この23分類をマスターすればするほど「ここまでの分類は必要無いし、ぜんぶおんなじようなものだ」という意見になるのですが、それはこれらの共通性を見出し、抽象的な理解ができるようになった後だからこそ言える話であって、これから色んな算数を学んでいこうという小学生にとっては、いきなり抽象的な理解を促したところで理解できるはずがありません。理解してもらうためには『分ける』必要があります。(分解することで分かる、解る) その分類が、上記23分類というわけです。算数力の地盤をひとつひとつ順に固めていく上で、とても優れた分類だと私は思います。
また、昔は「のべ算、帰一算」なんていうのもあったんですが、さすがにこの分類はあまり有益性がないと判断されたのか、最近のテキストではほとんど見かけなくなりました。
みなさん、これらは決して『特殊』なものではなく、算数数学の土台となるものの見方、思考と動作を学ぶための非常に優れた基礎分類であるということを、ぜひ理解していただきたいなと思います。
次回記事は日曜日のお昼になります。
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