先日、障がい者グループホームとして賃貸している物件の管理会社から一本の電話がありました。
何だろうと思いながら電話に出ると、用件はこのような内容でした。
「オーナーから、家賃を値上げさせてほしいとの要望が出ているのですが、いかがでしょうか……?」
理由を尋ねると、次の2点が挙げられました。
◆ インフレによる諸物価の上昇
◆ 固定資産税の上昇
確かに、昨今の物価上昇を考えれば理解できる部分もありますが、、
私自身も賃貸業(大家業)を営んでいるため、先々月に固定資産税を支払いました。
そのため、
「私も賃貸業をしていますが、固定資産税はそこまであまり上がっていないません。上がっている物件でも数百円ですが」
とお伝えしたところ、
担当者様からは、
「……ですよね」という返答がありました(笑)
担当者によると、
◆ 最近はオーナーから家賃値上げの相談が増えている
◆ 入居者への説明や交渉対応に追われている
◆ オーナーから進捗確認の連絡が頻繁にある
とのことでした。
管理会社としては、オーナーの要望を伝えなければならない一方で、
入居者との関係も維持しなければなりません。
まさに板挟みの状態で、多くの担当者が苦労されていることが伝わってきました。
一方で、障がい者グループホームを運営する側も厳しい状況に置かれています。
◆ 食材費の上昇
◆ 光熱費の上昇
◆ 人件費の上昇
こうしたコスト増加に日々直面しています。
しかし、障害福祉サービスの報酬は市場価格のように自由に変更できるものではありません。
収入が急激に増えるわけではない中で、家賃まで上昇すると事業運営への影響は小さくないのです。
今回の家賃改定の打診については、丁重にお断りしました。
理由としては、
◆ 現時点で近隣相場が大幅に上昇していると判断できる資料が示されていないこと
◆ グループホーム事業の収支環境が厳しいこと
そして「生活保護者向けの家賃」も値上げになっていないことです
少し気になって、
「こうした家賃アップのお願いは、実際に受け入れられることもあるのですか?」
と尋ねてみました。
すると、
「はい。一定数は合意していただけるケースがあります」 とのことでした。
正直なところ、私は少し驚きました。
値上げの提案があったからといって、必ず応じなければならないわけではありません。
しかし、交渉の結果として双方が納得し、改定に至るケースも少なくないようです。
一般的に、入居中の賃料を変更することは簡単ではありません。
家賃改定を検討する際には、
◆ 周辺相場の変化
◆ 契約内容
◆ 建物の状況
◆ 貸主と借主双方の事情 など、さまざまな要素が考慮されます。
新規募集時の家賃が上昇することと、既存契約の家賃を引き上げることは別問題です。
だからこそ、借主としては提示された理由をそのまま受け入れるのではなく、
客観的な根拠を確認することが大切だと思います。
今回のやり取りを通じて改めて感じたのは、
「理由」ではなく「根拠となる数字」を確認することの重要性です。
例えば、 「固定資産税が上がっています」 と言われた場合でも、
「どの程度上がっているのでしょうか?」 と具体的な数字を確認することで、
より冷静な話し合いができるでしょう。
オーナーにも事情があり、借主にも事情があります。
インフレが続けば、今後このような家賃交渉は増えていくことになるでしょう。
私自身も大家業を行っていますので、オーナー側の気持ちも理解できます。
ただ、値上げをお願いするのであれば「インフレだから」ではなく、
具体的な根拠を示した上で話し合うことが大切だと感じました。