10月2日を「金木犀の日」とねこ福では呼ぶことにしました。
必ずこの日に満開とは限らないのだけれど。
特に金木犀は開花時期が毎年変わりやすい気がする。
花が台風で落とされたてしまった年は、
半月も後になってから、また満開になったりする。
丈夫で不死身で、気まぐれで…
あれ?ねこ福じいちゃんと似ているなぁ。
10月2日は、ねこ福じいちゃんが最後に住み慣れた実家で過ごした日。
去年の今日、じいちゃんはお昼過ぎに病院から搬送され、
その夜に息を引き取りました。
台風が去った後の洗われた清々しい風が吹きこむ陽気、
暑くもなく寒くもなく、
眩しく穏やかな秋の日差しに包まれたお天気。
山里は最高の舞台セッティングで、主の帰還を迎えてくれました。
じいちゃんを乗せた寝台車はゆっくりとゆっくりと
黄金色の稲穂の間を自宅まで走っていました。
私は、少し離れて後ろを運転していて、
それが勇士の帰還の光景に見えたのでした。
93年を生き抜くということは、無条件に立派なことなんだな。
ねこ福では、これまでみたこともないほど金木犀が花をつけていました。
もしや金木犀も主人の最後の帰還を賛辞する準備なのかな
そんなふうに思いました。
じいちゃんが好きだった猫さんシャルルは、
窓サッシに三つ指をついて、神妙に慎ましく控えて、
運び込まれるじいちゃんを迎えていました。
様々なものが、
じいちゃんがこの地で最期を迎えるために戻って来たことに
敬意を表しているかのようでした。
さて、
在宅医療チームの方々が帰られて、
じいちゃんと二人の時間を過ごすことになった私。
「最後の時間、たくさんの思い出を作ってくださいね。」と、
看護師さんに言われたけれど、
何を話したら良いのだろう。
秋の柔らかい日差しと、
金木犀の香りを含んだ心地よい温度の風がカーテンを揺らす、
最高に心地よい午後。
家で過ごしてもらえて良かったな。
私にできることは、
その時を心ゆくように味わってもらうことくらい。
最期の最後まで、間接的にしか関われなかったな。
寝返りをしてもらおうとした時に、
ベットの柵を握って協力をしてくれた、
それがじいちゃんが生涯で最後にした行為でした。
その姿勢のまま意識は途絶え、呼吸だけの時間になりました。
後で振り返ると、そういうことでした。
寝返りくらい、手伝ってもらわなくたってできるのに。
私寝たきり介護のプロだったんだよ…。
じいちゃんは、私を助ける気持ちはあったんだよということを
態度で残してくれたのかなと。
血圧60。
こんな状態で搬送していいのか?という状態だったけれど、
「明日、家帰るで。」
と、伝えた瞬間、
カッと目を見開いた姿は、再起動するターミネーターのようでした。
よくぞ、もち堪えて家まで辿り着かれました。
意志の力が可能にするもの
バイタルサインの数値だけでは、人の生命は測れない
それを見せてもらった日でもあります。
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