5、6年前私は一番下の妹のいる西表に遊びに行った。
毎日毎日朝から日が変わるまで仕事に追われ、
すっかり疲れて南の島に月5日の休みのうちの
3日をつぎ込んでの逃避行。
西表の上原港に着いてバスに乗り込む。
妹に電話すると「運転手さんだれ?」
?!へ?わからん。どーいうこと?
毎日毎日朝から日が変わるまで仕事に追われ、
すっかり疲れて南の島に月5日の休みのうちの
3日をつぎ込んでの逃避行。
西表の上原港に着いてバスに乗り込む。
妹に電話すると「運転手さんだれ?」
?!へ?わからん。どーいうこと?
「運転席の名札読んでみて。」
「待ってよ。えっとホ…シ…」
「ぎゃーっはっは。みっちおじだ。みっちおじ。声が聞こえてる。」
状況がつかめない。知り合いだったんだ。
バスを降りた所に迎えに来てくれた妹は
今まで私が乗っていたバスの乗客のほとんどと
「どこ行ってたのー?」と笑いながら話し知り合いのようだった。
運転手さんに「みっちおじ!私の姉ネエが来たんだよ。」と言って
私は降りる時になって初めて
前歯のぬけた大きな声でよく笑う運転手さんと挨拶をした。
底抜けに明るい自由人に見えたけど
島について明るい自由人という雰囲気は
島の人全員が持ってるんだと気付いた。
仕事にまみれて今、自分が生きている所が周りの見えない小さな世界に感じ
私はそこで、デジカメの液晶も見えないくらいの強い日差しを浴びて
裸足で歩き、夕方になったら、仕事を終えて迎えにくるサチコと、のーじーと
妹と海に行って黙って海に沈む夕陽を眺め、流木を拾い、サンゴを拾った。
ほんの少しの休息。
島に来てまでも何度も鳴る仕事の電話に、息が詰まりそうな疲れた私を
いたわりながら、妹は私が行きたい所に連れて行ってくれ、寄り添ってくれた。
そして嬉しそうに、ガススタに行けば「私の姉ネエだよ。」
郵便局に行っても、スーパーに行っても、ソウキソバを食べに行っても
「私の姉ネエが来たんだ。」と嬉しそうに言った。
島はみんなが知り合いだった。
彼女は短大の時、授業の一環として初めて西表の地に降り立った。
2年間の学生生活で一年に一度。
その短大以外だったら行く意味がないと言い、
すべり止めも受けず落ちたら就職すると決めてたしーちゃん。
卒業するとすぐに西表に行った。
あれから9年。
あの時のバスの運転手さんが来月、しーちゃんの新しいお父さんになる。
きっと私のように3年したら飽きて帰ってくるもんだと思ってた。ふふ。
子供は小さい頃から島の人達全員に見守られ育てられる島で
何年かして、しーちゃん引き上げて帰ってはこないの?と聞いてみたら
「先の事はわからないけど、しずは内地で子供を育てる絵が思い浮かばないんだ。」
と言った。
彼女はきっと高校を卒業する時わかってたんだ。
そこで共に生きる人達と出逢い、そこで生きていくんだって。
あそこ以外には行く意味がない。その突き動かされる強い思いは
魂からあふれてあふれてしょうがなかったんやねぇ。
私が行った時にはヒカルはまだ内地に就職していて。
でもそんなヒカルが島に帰って来てその後しーちゃんとこうなるなんて
あの時の私達には知るよしもなかった。
でももうすでにあの時は始まっていたんだ。私たちが知らなかっただけ。
しずが絶対にあの短大に行く!と言い切った時から。
違うな、きっともっとずっと前から。
日が沈む時間になると一緒に海に夕陽を眺めに言ったのーじーの事務所は
流木や木の皮で編んだカゴや、もだまや作ったオブジェ。
自然と共に生きる感覚がドバッとあふれた。
お正月に手作りのお箸を作るための、木を山から取ってきてくれたのものーじー。
あの時、夕陽を見ながら「この流木はヒノキだ。」と教えてくれた。
のーじーはみっちおじの兄弟。
あの時夕陽を眺めながら、まさか将来、親戚になるなんてこれっぽっちも思わなかった。
人との縁は不思議。こうして広がっていく。太古の昔から。
生きてる不思議。自分が今ここにこうしている不思議。
導かれていくように決まっていたんだと思われる不思議。
夕陽を一緒に見て過ごしたサチコから
「今の私に何かできることは?って考えてブログ始めました♪」というメールが届く。
?意味がわからない。と思ってリンクを開けると
『めざせ!3・29!』
泣くかと思った。
たった3日しか過ごさなかったあの日々にこんな先まで愛を届けられるとは
あの時、気付きもしなかった。
誰かを想う深さ。人の縁の不思議。
みっちおじが、しずは3姉妹だからうちの両親の事を気にして
「しずと一緒にお父さんもお母さんも西表に来たらいいよー!
ボロでも家1軒くらいならなんとでもするさぁ。
まとめて面倒見るよー。みんなで西表で暮らそう。」と言ってたとしずは笑って言った。
「みっちおじ私の姉ネエに会った事あるよ。
みっちおじの運転するバスに乗って来たんだよ。」と言うと
「バスに乗ったの?そんならもう、みっちおじの娘だねぇー。笑」
人柄が胸を打つってあるんだと思う。ヒカルが挨拶に来た時、ヒカルにも同じ事思った。
人に何かをと思うキモチを私はたった3日間でたくさんもらった。
私が最初に自由人だと感じたのは島の人たちの
心があまりにも豊かであふれていたからかもしれないなぁ。
今なんとなくそう思った。
そんな来月3・29
重すぎる島時間な人たちの腰はようやく上がり。笑
一気に体育館での手作り結婚式に向けて青年会が始動したもよう。
ヒカルは手作りの罠を山に仕掛け、もう猪を2頭も捕まえたらしい。恐
島の人たちは、私たちに食べさせるんだというタコやカニを、海に捕りに行き、家の冷凍庫をすでにパンパンにしているもよう。
昔から引き継がれてきたお祝いの形。
「しず、おまえは知らないだろうけど俺達の中ではもう始まってんだぞー。」
そんなひと言で、すでに泣ける。
私の中でのプロジェクトXもそろそろ始動。
ここに書けないのが悩ましい限り。
それぞれの3・29に向かって。
同じキモチでひとつを目指して。
想いを形に。