妄想のおはなし | 自然が教えてくれること

自然が教えてくれること

流美農園のブログ

10年も前のこと。
朝早く千葉であるイベントに間に合うように、
はじめて高速バスに乗り、京都駅から東京駅に向かいました。

高速バスは走る密室。
乗るやいなや、カーテンはピシッとしめなくてはならず、電気はOFF、携帯NG。
運転席と客席の間も、分厚いカーテンで遮断されています。
まるで、真っ暗なハコが高速スピードで移動しているよう。

うとうとと、寝落ちてしまいました。
ふと目覚めると、
その箱と外気との摩擦から、とてつもないスピードを感じます。

尋常じゃないスピード感。

カーテンをちらりとあけて外を見ると、
隣の車が……あおってる。
そして、このバスがそれに応えている。

うそでしょ。

シューンシュン。
音にもならない音。
不気味な空気があっという間に通り過ぎては、過去のものになっていく。
まわりの人は???
どうだったか、覚えていない。

緊張の汗が冷たく、
知らず知らずのうちに手をぎゅっと握り締めていた。

カーチェイス。

猛速で左右に揺れるバスの中を、足に力を入れフラフラと前まで歩き、
運転手席をノックした。
強く、強く。
カーテンをあけ、運転手さんがこちらを向いた。

「やめて~~やめて~~」
シュッシュッという不気味な感覚を体に受けながら、声がかれるまで叫んだ。

運転手さん、無視。

「おねがい!!!」

真っ暗な箱が、とてつもないスピードで走り、隣の車に抜かされ抜き返す感覚。
その中で何もできない恐怖におびえながら、
「やめて~~やめて~~」と繰り返した。

そして、
震えながら、目が覚めた。



10年ほど前、東京に向かうバスの中で見た夢です。

そして、その妄想に取り付かれ、
私は、車に乗ることができなくなってしまいました。
トラウマです。

何やそれ?あほらしい。
って思うでしょう。
私も思います。

でも、頭と心は別の道を行こうとする。

人ってこんな簡単なことで心を支配されてしまうものなんですね。
マインド操作が上手な人の手にかかったら、私なんてカンタンでしょうね。

妄想族ですから、妄想にとらわれて「ふつう」じゃない行動をしてしまうことは、たまにあります。でもそのほとんどは、取るに足らないこと。


それから何年もの間、
車に乗ることができませんでした。
シートに座った瞬間に体が凍りつき、ガチガチに筋肉が固まり、
まわりの全ての車がこっちに向かってくる錯覚に陥り、「止めて」と言ってしまう。

とはいえ、時間は薬。
5年たったころ、もうきっと大丈夫と思えるときが来ました。
そんな折、友人と用事で遠くに出かけ、帰りは高速バス。
きっと大丈夫と思っていたのに、
そのトラウマはみごとに100%、復元してしまいました。嗚呼。
一睡も出来ず京都駅に着いたときにみたあの朝日はまぶしかった。

とはいえ、時間は薬。
それから5年近く経ち、もうきっと大丈夫。
車に乗せてもらっても緊張もしなくなりました。


ということで、先日から、ペーパードライバー講習に通っています。
畑に行くのに、自転車じゃ道具を持ち運びにくいし、
冬の重い野菜を移動させるのに自転車じゃ限界ありますしね。
来年から、野菜の販売をしようと思って準備しているので、これも準備の一つです。

それにしても、夢ひとつでこんな風になってしまうなんて、
「心」というのは時にやっかいなものですね。