「モト」に対して呆れ切っている私とは裏腹に、「モト」の『彼女』に対する誹謗は勢いを増していた。
「ボクの授業が終わるのを
(会社の)
ロビーでずっと待っているんだぞ!?
そんなことしたら、
周りに判ってしまうだろうに!」
…うん、そうだね~。
でも、だったら「ヤルなよ」……!
「★★(=会社がある繁華街)を
一緒に歩くのに、
わざわざ腕を組んで来るんだぞ!?
誰が観ているか判らないって言うのに、
馬鹿なオンナだと思わないかっ!?」
…うん、「馬鹿はアンタだ」……!
好きな人と腕を組んで歩く
…別にコノ国でなくても『普通のカップル』ならアタリマエのことだと思うが?
コノ国で良く見るように「互いの」ジャージの腰に手を突っ込んだままで歩こう、とでも言われた訳でもあるまいに。
いや、「モト」は「そういうこと」になど気付きもしない。
だって元々が
「ボクは雲の上で
思考を巡らせるような生活を
しなきゃならないんだ!」
と堂々と言うくらい「高尚な」ヒトらしいから。
…じゃあ「そうなること」が嫌なら元々のことを「ヤルなよ」でしかないないのだけど、「庶民」は。
基本「自分のペース」で歩くことしか考えない。
「子供」に合わせて歩くなんてとんでもない。
まして子供の手を引いて家族の荷物を全部持ってトロトロ歩く「妻」なんて
「シェルパみたいで恰好悪い!」
…ので「いつも」スタスタと20m程先を歩き、時折振り返って露骨に面倒臭そうな顔をするのが「アタリマエ」。
…そうなっていたから、「そういうこと」なんてとっくに忘れてしまったのだろう。
今の「モト」がどうしているかなんて知らないが、例え文句を言われたとしてもきっと、「いつも通り」
「ずっとナニも言わなかった
リオが悪いんだ!」
…と言って終わり、だろうし。
とにかく。
私はつくづく情けなくなった。
これはもう『不倫』とも言えない。
いや、『浮気』にすら値しない。
まさに「自家発電」の為の『遊び相手』。
それも『ヒモ』ですらない。
『ヒモ』はマメじゃなきゃ生きて行けないから。
ただの
『タカリ』が『女を弄んだ』
…でしかない。
そして何より嫌だったのが、それが腐っても
「自分の夫」「子供の父親」
…だった、ということ。
私にはそうとしか思えなかった。
何度も言うが、「モト」と言う人はつくづく
「自分ダケ救命胴衣を着て
一人用の筏に乗って、
波間に漂う人達に向かって
『心配しないで、ボクは大丈夫だよ~!』
と、笑顔で手を振っている人」
…なんだ、としか思えなくなっていた……。