(過去のお話です)


再入院して。




看護師さんから頼まれて、お向かいのベッドの患者さんに声をかけてみました。
(お向かいさんなので、仮名としてムカイさんと呼ぶことにします)





ムカイさんはおそらく60代半ばくらい。うちの母より少し年上かなという感じの方でした。





大腸ガンの手術のあと私と同じように腸と膣の壁に穴があいてしまい、人工肛門開設手術と縫合手術の手術を行ったそうです。





しかし術後しばらく経っても、ストマの管理がうまくできず、精神的に落ち込んでおられて傷の回復も遅く、退院のメドもつかないということでした。





主治医は私と同じ先生でしたが、ムカイさんは先生との相性が合わず、治療に対してもうまくいかないからか不信感を持っておられるようでした。




私は先生の明るさと元気さに救われていたのですが、ムカイさんにとってはそれが逆効果だったみたい。




最初のうち、ムカイさんとの会話はなぜか全てがマイナス思考で、少しずつ良くなってるのに「なんでこんなに後ろ向き??」と疑問には思っていました。




ストマの管理が最初は難しいのは私も同じだったので「みんなぶつかる壁ですよ」「慣れです、慣れ。練習あるのみです」と励ましていました。





初期によく失敗してしまい落ち込むのもよくわかります。




色々な装具を試してみて、自分の肌に合う装具が見つかったら失敗も少なくなってくるので、外出も怖くなくなりますよ、とお話していました。




自分も仕事復帰した後、会社で失敗したらどうしようとか不安になってたくせに、よくエラソーにアドバイスできたなと今は思いますが(笑)





ムカイさんも私と同じく、いずれ人工肛門閉鎖手術を受けられる位置にストマがありました。




いつか元の身体に戻れるということです。




あるときムカイさんが「術後の腸閉塞などで痛く辛かったので、もし閉鎖するとしたらまた大きな手術をして痛い思いをするのがイヤだ」とおっしゃっていました。




「5年生存率、50パーセントなんだって。」





「5年後に生きてるかどうかもわからないのに、また痛い思いをしたくない。ずっとこの身体のままでいい」





そうおっしゃっていました。






そうか。






私は大ケガをしたようなものなので、ケガ(穴)さえ治って人工肛門閉鎖をすれば元の生活に戻れます。




でも、ムカイさんは5年後に生きているかどうかわからない中で今しんどい治療をされているんだ。




抗がん剤とか、他にも副作用のあるお薬とか、まだこれから色んな治療をしていくようでした。





先が見えない中で、気持ちがどんどんネガティブになるのは当然です。





ムカイさんの不安はノー天気な私では到底解消できない。





そう思いました。。。