病院に入り浸っていた子ども時代 | [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]

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病院での思い出ある?

 

 

母が看護婦(途中から看護師)で、地元のアットホームな個人病院に長く勤めていた。

時代も昭和末期から平成というコンプライアンスなどという概念の無い時代だったので、いろんなことがユルかった。

 

母に用事があるとき(なんの用事だったかは覚えていない。おそらくつまらない用事だったと思う、子どもにとっては必要なことだったかもしれない)には、職場である病院に電話することもあれば、直接行くこともあった。

 

当然のことながら、母は看護婦として忙しく働いているので、すぐに会えないことも多かった。

病棟にいたり、診察にたちあっていたり。

我が子が会いにきたからといって簡単にその場を離れられない事情がある。

 

そんなときは使っていない空いている診察室や、ナースステーションの奥にある待機室(休憩室)などで待っていた。

 

他の勤務している看護婦さんや技師の先生たちなどが通りすがりに声をかけてくれたり、構ってくれたりもした。

 

みんな優しかった。

 

それだけ母が職場の皆から信頼され重用されていたからなのだろう。

 

 

のちに、院長先生に生まれて初めてのフランス料理に連れて行ってもらったのも印象深い思い出だ。

艶々した黒塗りのおベンツ様に乗せてもらい、フレンチのフルコースをご馳走になった。

そのとき初めてトリュフ、フォアグラ、キャビアも食べた。

ボトルの白ワインも飲んだ。(未成年だったけど……)

 

院長先生と、わたしと、同級生の子(勤続年数の長い看護婦の娘)の3人のふしぎな食事会。

 

職員の子どもを食事に連れて行ったのは、結局そのとき一回だけだったらしい。

息子ばっかりな院長先生は娘とデート()してみたかったらしいので、それで満足したのかも。

 

 

 

病院を遊び場だと思っていたわけではないのでいつもちょっとだけ緊張していた。

 

喧騒の中に静けさがあり、あたたかい雰囲気に不穏が潜んでいる。

どんなに明るくても死と不幸の気配が薬品の匂いのように漂う場所。

 

母がいる場所はそういうところだった。

 

 

ずっと健康だったけれども、そんなふうに、病院には入り浸っていて、思い出が多い。

わたしには懐かしいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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