1.フランチャイズで広がった「天下一品」
京都、北白川の屋台で1971年に創業した「天下一品」は、フランチャイズで全国各地にその味を広げました。東京では何社かがFC契約を結ぶ中、「アトラスアンドカンパニー」という会社が、新宿・渋谷・池袋をはじめ、繁華街などでFC店舗を広げて、東京に住む人に「天下一品」の名を知らしめるようになりました。
天下一品が、直営店を含めた様々な経営形態で都内に出店する中、アトラス社が運営する店舗は「アトラス系」と呼ばれるようになりました。その後、エムピーキッチンホールディングス配下の「ティーフーズ」という会社の運営に。エムピーキッチンは、2007年につけ麺専門店「三田製麺所」を自ら立ち上げて、そちらの展開も進める事になります。
2.なぜ一気に閉店したのか?
そんな東京の「天下一品」が新たな局面を迎える事になったのは2024年の事。都内の6店舗が6/30で一気に閉店。それらが全て「アトラス系」だったことが話題になりました。ちょうど一年後になる2025/6/30に、アトラス系で残っていた10店舗も閉店し、16店舗全てが閉店する事になりました。
ネットをはじめとしたメディアではこれを「大量閉店」として報じつつも、天下一品からもエムピーキッチンからも、この件に関する理由の説明がなかったことから、SNSでの「考察」が広がる事になりました。このブログエントリーも考察の一つという事になります。
16店舗の閉店を「撤退」ではなく「方針変更」と考えると、その最大の理由と考えられるのが、2026年1月に起きたエムピーキッチンの買収です。買収したのはラーメンチェーンを運営する「魁力屋」(2026/7/1「SAKIGAKEホールディングス」に商号変更)。その買収が発表されたのが2025年11月。50億円の大型買収がすぐに決まるとは考えづらく、2024年6月の6店舗閉店以前から「魁力屋入り」が検討されていた可能性は十分に考えられます。
「魁力屋」と「天下一品」は共に京都北白川に本店を置く人気ラーメンチェーン。魁力屋の系列下に入るにあたり、「天下一品」とのフランチャイズ契約を結んでいる状態なのは、望ましい状態ではなかったのではないかと思います。
3.閉店した「天下一品」の跡地はどうなった?

閉店した「新宿西口店」の近くで開店した、新「新宿西口店」の「こってり+赤ん粉」
都内を中心に16店舗。駅近くの好立地が多かったアトラス系「天下一品」の跡地はどうなったのか、以下にまとめます。この記事は、アトラス系各店舗の跡地情報を全て確認できた事で書きました。
<2024/6/30閉店>
歌舞伎町店・恵比寿店・池袋東口店・八幡山店・多摩ニュータウン店⇒「三田製麺所」
五反田店⇒「餃子専門 八宝亭(2026/2/28閉店)」⇒「札幌 みその」
「三田製麺所 恵比寿店」は、近くにあった店が駅寄りの天下一品跡地に移転してきました。「三田製麺所」の移転元には、同じエムピーキッチンホールディングスによる「餃子専門 八宝亭」(ラーメン提供無し)の2号店が開店。五反田店が閉店したため、現在唯一の「八宝亭」になっています。
その「八宝亭 五反田店」の跡地に開店した「札幌 みその」は、魁力屋がエムピーキッチンの前に買収していた「グランキュイジーヌ」(ラーメンけいすけ系列)による札幌味噌ラーメンブランドです。
<2025/6/30閉店>
※10店舗全てが、2025年7月に「東京黒背脂醤油ラーメン 伍福軒」にリブランド。1年未満で全店舗が閉店しました。
川崎店・大船店・大宮東口店・吉祥寺店・池袋西口店⇒「魁力屋」
目黒店⇒「三田製麺所」
ここまでの12店舗は、魁力屋(SAKIGAKEホールディングス)関連の店舗になります。
田町店・蒲田西口店⇒「天下一品」
この2店舗、外見上は「復活」ですが、経営母体はエムピーキッチンではありません。田町店の求人情報は「株式会社フェアリーリング」から出されていて、「天下一品 青物横丁店」も運営しています。蒲田西口店の求人情報は「株式会社ブレインズホールディングス」から出されていて、「天下一品 甲府向町店」も運営しています。
渋谷店⇒「セアブラノ神」
新宿西口店⇒「らあめん花月嵐」
両店は「ニンニクげんこつラーメン 花月」をルーツにした「グロービート・ジャパン株式会社」配下のラーメン店になります。
また、閉店した「天下一品」のすぐ近くで「復活」する動きも続いています。「五反田店」は道路の反対側に2025/6/24、「新宿西口店」は同じ通りの並びに2025/10/27で開店しました。両店は、「上野アメ横店」などを運営する「ディックス・エイチシーズ株式会社」が運営しています。
4.まとめ

新規開店した「天下一品 北千住店」の「超こってり明太ごはんセット」
創業から半世紀を超えて人気のラーメンチェーン「天下一品」も、時代の波を受けて閉店する店もあります。その一方で新店の開店も続いています。そんな中、五反田や新宿、田町や蒲田といった都内各地で「復活」しているのは、こってりの味に魅了されている人が多いことの証ではないでしょうか。今後も、天下一品の出店が続くことに期待したいと思います。