2011年8月以降ゴールデンウィークと盆休みに福島から岩手の沿岸部を訪れるのが恒例行事になったが、自分が未だにこうしたことを続けているのは様々な理由がある。当初は東日本大震災の現状を記録したり現地の品々を購入して些少ながら支援になれば、との思いもあった。今では現地で繋がりを持つことになった方々とお会いしたり観光っぽいこともするようになったが、震災や津波などに関連した書籍を探すことは当初から続けている。前置きが長くなったが今回は現地で4冊の書籍を購入した。



 左から
・港まち記者の卒論 「気仙沼人」との泣き笑い見聞録
 佐藤紀生著 (株)エン出版 1700円

・津波~脅威、メカニズム、防災と備え~
 今村文彦著 成山堂書店 2400円

・災害列島の作法 土屋信行著
 主婦の友社 1364円

・声を掬(すく)う 高山智行編
 HOPE FOR project発行 800円

 今のところ読み終えたのは「港まち記者~」だけだが、著者の佐藤紀生氏は長年三陸河北新報社の記者として気仙沼を中心に多くの人たちと接してきた。そうした人たちのインタビューや気仙沼という風土や気質も掘り下げている。佐藤氏が取り上げている人たちの中には以前自分が読んだ書籍に登場する方々がおり、パズルのピースが繋がったような気分だった。


 以前読んだ「救出」は震災当日気仙沼公民館で孤立した人たちのドキュメントだが、その中に登場していた内海さん夫妻たちに取材したのが著者の佐藤記者で、詳しい経緯は本書に掲載されている。
 「海と生きる」は気仙沼つばき会の活動(漁師カレンダーや出船おくりなど)を取り上げた作品だが、佐藤氏は同会の主要メンバーにも取材してこちらも詳しく取り上げている。

 気仙沼市郊外にある波路上杉ノ下地区には慰霊碑がある。地区では震災当日住民の約1/3にあたる93人が津波の犠牲となった。震災前に市の危機管理課の課長だった佐藤健一さんはいつか来ると言われた宮城県沖地震に備え様々なシミュレーションや過去の記録などから津波被害が予想される地域を想定、現地調査や施設との折衝、住民との意見交換などを行っている。市内に97ヵ所の一次避難場所を指定したがただ1ヵ所、杉ノ下地区の高台で犠牲者が出てしまった。佐藤記者は以前から防災目的という共通の課題で健一さんに何度も取材しており、万全で臨んだ津波対策で犠牲者を出してしまった苦悩は察するに余りあるというものであろう。

 「津波 脅威、メカニズム、防災と備え」は津波研究で知られる今村文彦教授執筆の書籍。何故津波は発生するのか、そしてその恐るべき破壊力、それにどう対処すべきなのかを解説している。学術的なデータで津波を検証するだけでなく、こうした災害を伝承する重要性も取り上げている(巻末に津波に関する全国の伝承館や博物館の一覧が掲載)。

 「災害列島の作法」は甚大な被害を受けた女川の復興まちづくりを追ったドキュメンタリー。著者は江戸川区で土木部長を務めていたが震災後女川町の復興事業に携わることになる。巨大な防潮堤で町を守るのではなく、「どこからも海が見える町」としながら津波から命を守るという町づくりがどのように行われたかを知ることができると思う。

 「声を掬う」は荒井駅に併設された「せんだい3.11メモリアル」で開催中の特別企画展のインタビューを書籍化したもの。震災当時子供だった仙台市若林区荒浜出身の7人が証言している(※最後の川村孝男氏は元荒浜小学校校長)。インタビューは伝承館の映像で見ることができるが、やはり活字として読む方が自分の記憶に刻まれるような気がする。以前紹介したコミック「リバーエンド・カフェ」の主人公、入江サキは震災後の「がんばろう」や「絆」の言葉に違和感があった、と回想しているが、このように「言いたくても口に出せない」思いを「掬う」のがこの企画の主旨なのであろう。

 いつも書くことだが、震災から時間が経つにつれて震災関連の書籍を目にすることも少なくなった。西日本住みの自分はなおさらで、それだけに現地にしか出回っていない良書に出会えた時の気分は格別なものがある。また、今回は女川の書店で貴重な話をお伺いすることもできた。昨年吉浜で「日本一小さな書店」カドベッカの小松さんに現地を案内して頂いたのもいい思い出である。今は書籍の電子化や活字離れで書店も減少しているというが、個人的には何とか続けて欲しいと思う。


 ↑これは震災関連書籍ではないが、現地の書店を応援するということで(笑)。


 ※なお、現地のブロ友さんが3月11日前後の河北新報や石巻かほく紙を取り置きしておいてくれました。あらためてお礼申し上げます。こうした新聞記事もスキャナーに取り込んでデータベース化しなければならないのだがたまる一方に…。