一方的な暴力にさらされた者には、
自分が被害にあったことを訴える権利がある。
どういう事情で何が起こったのか、
本人がまわりに知ってほしいと望むならば、
それを拒むことは、誰にも許されてはならない。
「ソロモンの偽証」では、
中学生たちが、自分たちで裁判をおこない、
真相を究明していこうと試みます。
ここで抜粋した文章は、小説の中では本筋ではなく、
あくまでも真相解明のために、
被害にあった少年の証言をきくところで書かれた一文です。

「こんなにヒドイ目にあった」
という話は、なかなかきいてもらいないのが現実。
いつまでもそんなこと言ってないで、とか、
さっさと忘れて次にいこう、とか、
そんなふうに、忘れさせることを第一に
考える風潮があるみたいですよね?
それで忘れられればいいけれど、
それができなかったら?
表面的に忘れたと思っていても、
心の奥深くではくすぶっているのだとしたら?
そうやって考えていくと、
犯罪被害者のトラウマというのは、
そう簡単に払拭できはしないのではないか?
と思えてしまいます。
この本の中の中学生裁判では、
心にも身体にも深い傷を負った少年少女たちが、
ズタボロになりながらも、
この法廷に出てきて証言をしていくのです。
証言台に立った彼ら一人一人の心情が
それぞれに重いものを持っていて、
息苦しいほどの緊迫感があります。
ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)/新潮社

¥907
Amazon.co.jp