実は、数年前に、軽井沢のスーパーマーケットで、ドナルド キーンさんをお見かけしたことがあります。
レジに並んでおられたドナルド キーンさんを見つけたのは、当時大学生だった娘。
感激して、「お声おかけしたいけど、いいかな?」と娘。
(娘は、キーンさんの大ファンでした。)
「こんな場所で?やめたほうがいいんじゃない?」と思わず答えた私。
これから食べる予定の食べ物が見えている状況では、プライベートな部分に踏み込むような強引さがないと声をかけられない‥
そんなふうに感じたのですが、娘も同じように感じていたから、私に尋ねたようです。
「でも、こんな機会はもうないよね。。」
悩んだ挙句に、娘は結局、お声をかけることを諦めました。
そして、月日が経ち、娘の言う通りに、そんな機会は二度となく‥
今回、キーンさんの訃報に接し、もしあの時、お声をかけていたら、キーンさんはどんなふうに答えられただろうと、改めて考えてしまいました。
「プライベートな時間だから‥」とおっしゃったかもしれないけれど‥
ひょっとしたら、若い子が自分の本を読んでいることを喜んでくださったかもしれないとも思ったりもするのです。
そうだったとしたら、それほ娘にとっては、宝物のような思い出になったはず。
そういった機会を、私の一言で奪ってしまったのだろうか?と、ふと考えてしまいました。
もしもあのとき‥は、ないのですけれどね。
そんなふうに感じるのは、私も年を取って、一回一回の出会いの大切さを身にしみて感じるようになったからかもしれません。
ドナルド キーンさんのご冥福を心よりお祈りいたします。