テスラは、なぜ“普通の自動車会社”ではなかったのか
夫との雑談を深掘りした。
最初に出てきたのは、テスラの原点ともいえる初代ロードスターの話だった。
テスラは、いきなり大衆車を作った会社ではない。最初に世に出したのは、スポーツカーだった。2008年に量産が始まった初代テスラ・ロードスターは、ロータス・エリーゼをベースにした小型スポーツカーで、そこに電気自動車の駆動システムを載せたものだった。テスラ自身の発表でも、2008年3月にロードスターの通常生産開始を発表している。(Tesla Investor Relations)
ここが、テスラらしいところだと思う。
「環境にいい車だから乗ってください」ではなく、
「電気自動車でも、こんなに速くて、かっこいい車が作れる」
という見せ方をした。
つまりテスラは、最初から“我慢して乗るエコカー”を作ろうとしたのではなく、欲しくなる電気自動車を作ろうとした会社だった。
その後、テスラは高級セダンのModel S、SUVのModel Xへと進んでいく。Model Xは、上に跳ね上がる「ファルコンウィングドア」が特徴的な大型SUVである。(Tesla)
そして、より多くの人に届く車として、Model 3、Model Yが登場した。
この流れは、偶然ではない。イーロン・マスクが2006年に公開した「Secret Tesla Motors Master Plan」では、まず高価格帯の車から入り、そこで得た資金と技術を使って、より手頃な価格帯の車へ広げていくという戦略が明確に書かれている。(Tesla)
夫の説明の中で印象的だったのは、「S、3、X、Y」というモデル名の話だった。
Model S、Model 3、Model X、Model Y。
並べると「S3XY」と読める。
本来は「SEXY」としたかったが、Model Eの商標上の問題などから「E」ではなく「3」になった、という話はテスラ好きの間ではよく知られている。夫はそのあたりも含めて、テスラの遊び心やブランド戦略として説明してくれた。
一方で、テスラの歴史は、予定通りに進んできたわけではない。
代表例が、次世代ロードスターである。テスラは現在もロードスターの公式ページを残しており、0-60mph加速1.9秒、最高速度250mph超、航続距離620マイルなどの性能値を掲げている。(Tesla)
ただし、この車は2017年に発表されながら、2026年5月時点でも市販開始には至っていない。最近もロードスター関連の商標出願が報じられており、開発継続の兆候はあるが、量産時期や最終仕様はまだ確定情報としては確認できない。(Car and Driver)
夫が話していた「世界一速い車にする」「ポルシェのように、自分で運転する楽しみを残す」という説明は、まさにテスラが単なる移動手段ではなく、車そのものの概念を変えようとしている会社であることを表しているように感じた。
電気自動車。
自動運転。
ソフトウェア更新。
ロボット。
そして、人が運転する楽しさ。
テスラは、車を「エンジンで動く機械」から、「ソフトウェアで進化するプロダクト」へ変えた会社なのだと思う。
夫の説明を聞いていて、私は改めて思った。
車好きの人がテスラに惹かれる理由は、単に「電気自動車だから」ではない。
そこには、技術への好奇心、未来への期待、そして“車とは何か”をもう一度考えさせる面白さがある。
テスラは、車を作っている会社であると同時に、
未来の移動のあり方を実験している会社なのかもしれない。
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