珍しくエッセイを読みました。
たまたま見たNHKのアーカイブスで、取り上げられていた作家の須賀敦子。
(私はこの時初めて名前を知りました)
'50年代に海外留学した裕福で頭脳明晰なお嬢様、と思いきや、マイノリティとしての苦悩、女性としてどう生きるかの悩みなどなど、私たちと変わらない思い(戦前なのでもっと大変)を抱えながらの生き様に、とても共感したのでした。
番組では永作博美が朗読したのですが、これがまた、なんとも文章とマッチしていて妙に耳に残りました。ちょっぴり退廃的というか、何か心の中に不満抱えているような世の中斜めに見ているような、そんな声と・・・。
イタリアというと、明るく陽気な人たちを想像しますが、それは表面上だけだと気付きます。フランス人との違い、ユダヤ人との距離感、日本人との感覚の違いなどなどが、彼女の優しい目を通してつづられています。
ガイドブックに書いてあるヴェネツィアとは随分趣が違います。彼女自身、夫と死別した深い悲しみを抱えた時期に訪れています。ユダヤ人とゲット、高級娼婦、そして梅毒にかかった彼女たちの病院・・・。万国共通の女性の哀しみのようなものを感じました。
イタリアでの彼女はマイノリティであり、ギリギリの生活をする「負け組」。だからこそ見えてくるイタリア人の暮らしと本質。
文章がとても美しく、流れるようです。そして、大人の女性の凛としたたたずまい。
思わず背筋がシャンとしました。
彼女が文章を書き始めたのは60才。
人生まだまだだと勇気が出ます。

