一日能楽師入門体験 ①楽屋入り 其の三 | 能meets

能meets

観世流能楽師 林本大による
わかりにくいからこそ面白い能の、わかりやすく「濃密」な講座。
「能が皆さまに会いに行く」をモットーに大阪・東京・高知・栃木、他(福岡、長崎、札幌)で開催。
全国展開中!
スタッフ運営。

一日能楽師入門体験 

楽屋入り 其の三

 

能楽堂入りし、自身もそして先生の着替えも終えたら…

一休みお茶

するわけにもいかず、すぐに舞台の準備にかかります。

 

今回は特別に、本来は楽屋ですることはないものも教えていただきました。

糸を撚る(よる)という作業です。

この後行う、装束の着付けの際に使う糸を準備します。

 

 

能装束は非常にしっかりとした厚い生地が多く、役によって袖や裾を縫いつけることも(当日の着付け中に縫って形にしていくんで!)

その時、普通の糸では細くて動いている最中に切れてしまうからです。

 

糸を針に通し、その針を畳のへりにしっかりと強く差して、糸を撚って2本の糸を1本にしていきます。

 

 

南川さんも興味津々…

実際触ってみてその強さに納得されていました。

この作業はお舞台やお稽古の合間の普段の時間にされるそうです。

 

撚った糸を針入れに戻すときも、工夫されています。

針を戻して、糸を巻き付ける時に最初のひと回しを針の下に引っかけない…そのあとはクルクルと針に巻き付けます。

こうすると、後で使う時にスッと抜けて、使いやすいそうです。

なんと、こんなところでも効率的で、見た目も綺麗です。

 

 

先生もご自身の裁縫道具をお持ちですし、

よく「襟の付け替えをしました」とか「装束の直しをしました」

と仰っているのを聞いたことがあります。

 

装束の小物や、道具も手作りのものが殆どだそうです!

手先の器用さも必要ですし、お裁縫も出来ないとダメなようですよ、南川さん。と、言いつつスタッフ陣も圧倒的に不器用な人間が多いので…お手伝い出来ることはあまりなさそうです汗

気持ちだけは、あります!

 

さて、次は当日の楽屋でしかできないこと。

メンアテです。

 

 

能面の事を「オモテ」と呼びますが、この時はメンと発音するんですね…

当日面を掛ける能楽師にあわせて、アテと呼ばれる布地で調整をします。

※能面は被るのではなく、掛けると言います。

全体に被ったり、固定するわけではなく、紐で後ろでくくるだけなので、絵画を掛ける、という表現と同じなんです。

 

ここで、豆知識ひらめき電球

よく能楽師の顔が面からはみ出てる

という話を聞きますが(私も顔がでかいのだとか、面が小さいのかとか失礼な事を思っておりましたあせるこれはわざとです。

すっぽりおさまるように掛けてしまうのではなく、あごを出して。

諸説ありますが、先生は「演じている役者」を見せる意味があると。

なりきるとはまた違う発想がそこにありますね。

 

 

なので、下にすっぽりではなく、このようにあごを出す。

 

さて、アテを調整しながら実際に掛けていただき、それを目で確認していきます。

 

 

 

この時の言葉も

「ちょっと下すぎる向き」とか「ちょっと上向きすぎる」ではなく

「クモル」とか「テル」という言葉を使うそうです。

それ以上下を向くとダメという時は

「下いっぱいです」と伝えます。

それをもとに、調整をしていきます。

 

 

先生の指示の元、南川さんもお手伝い。

すぐに先生がいつもの癖でご自身でされてしまい

「あ、コレはやってもらわないと」と、南川さんにバトンタッチされる光景が何度もありました

 

アテを貼るのは本人の作業です。

昔は糊だったそうですが、今はビニールテープで。

もっと昔はアテもしてなかったそうです。

ただでさえ視界が狭い能面なのに、これは本当に大変ですね。

 

能面に関しても能meetsでは何度か取り上げさせていただきました。

 

その歴史や種類によるお話など本当に奥が深いです。

是非とも再開した際は、能面に関する能meetsにもお越しください!

驚きの発見がいくつもありますよ。

間近で見るだけでもとても面白いですし、実際に掛けるとその視野の狭さに改めて驚きます。

 

 

メンアテが終われば、いよいよ装束の着付けです。

次回、一日能楽師入門体験②着付けへと進みます。

次はまたたくさんお仕事ありそうですよ、南川さん!