榎木孝明さんの絵画展に行ってきた。
その名も『抱きしめたくなる景色』。
描いた榎木さん自身が、自分の作品を愛おしむ気持ちの表れかと想像する。と同時に、観た者にとっても、描かれた景色を抱き締めたくなる。優しい色彩の絵を観ていると優しい気持ちになれる。
榎木さんには、景色が微笑んで見えるらしい。
四季折々に変化する景色を見ていたら、人も自然と微笑む。
「地球の寛容の微笑み」に気づいたら、人は寛容になり、
平和な世の中になるはず。
景色の微笑みを観ていると、抱きしめたくなるのだ。
榎木さんは、役者業よりも長く半世紀以上、水彩画を描き続けてきた。一貫しているのは、描く場所で彩色するということ。
それは、その場で感じる風を絵にしたいと思うから。
風は目には見えないがが、頬に感じることは出来る。
その時の気持ち良さを絵にする為には、やはりその場所の空気感を大事にしたいからだ。
油絵ではなく水彩画を選んだのは、自分の性格によるらしい。
小学校の通知表には、いつも「根気がない」と書かれていた。
何事も長続きせずに飽きてしまう性格だった。好きな芝居や武術は別だが…。
それで時間のかかる油絵よりも、短時間で仕上げる水彩画が性にあっていた。油絵は、白は白い絵の具を上から塗りますが、水彩画はキャンバスの白地を色を塗らずに残す。飽きたらやめることも出来る。
芝居と武術と水彩画は表現する方法は全く違うが、究極的には同じところに繋がる。
それは自分の我を極力小さくして行くということ。
オレがオレがの意識では、表現が自分の範疇を越えられない。
我を消して行くと表現のキャパシティが大きくなる。
役の魂を演じるときも、我が少ない方が良い。
武術も水彩画も自分を主張しないことで、目には見えない宇宙の力が応援してくれるという。
榎木孝明さん提供
筆文字は利き手でない左手で書く。
その方が味わいがあると、片岡鶴太郎さんに教わった。
榎木孝明水彩画展『抱きしめたくなる景色』は、
銀座セイコーハウスホールで23日まで。



