マリンビレッジから伊勢湾へ出て5分の場所でサルベージをやっていた。
サルベージとは座礁や火災に遭遇した船の救助や沈没船の引き揚げの事を言う。
母校の「海洋学部」は海洋土木、海洋科学、海洋工学科などがあり、これらの会社とも縁が深い。
卒業研究テーマ「五千mの海底におけるマンガンドレッジ開発」の水中撮影器材一式は海洋開発会社がデータと引き換えに提供してくれた。
この船は冬に座礁、浸水、沈没した数百トンの貨物船だが、このクラスを引き揚げるのは大変だ。
画像でわかるように巨大なクレーン船、それをサポートするタグボート、潜水作業船、監視船など船団を組み、海上保安庁の巡視船も立ち会っている。
このまま魚の住処の「魚礁」になれば問題ないのだが、やがて燃料が漏れて海洋汚染の原因になるからそうもいかない。
吊るしたままクレーン船で運べないので、浮上させた状態で排水して穴を塞ぎ、自力で浮くようにしてからタグボートで曳航する。
ヤマハのマリーナ支配人をやっていた頃、夜中に11トンのアメリカ製ハウスボートが沈没していた。
小型クレーン船を呼んでサルベージ、潜ってベルトをかけて海面まで浮上させた。
配管の腐食で破損、浸水したことがわかり穴を塞いだのだが、いくらポンプで排水しても浸水のほうが多い。
船体が弱く、吊るしたベルト付近に亀裂が入りそこから浸水していた。
自力で浮かなければわずか数十mしか離れていない揚降クレーンまで引っ張って運べない。
皆で途方に暮れていたのだが、野人が言った。
「こんなもんはビニル袋一枚あれば上等じゃ」
海に飛び込み、喫水線の下から船底の亀裂に
「ペタ・・
」・・とビニル袋を貼り付けた。
その状態で排水ポンプをフル稼働したが、亀裂からは浸水して来ない。
吊るしたベルトを緩めて船を自力で浮かべても問題なく、ボートをドックまで曳航、陸に引き揚げた。
ビニル袋は水圧でペタ~~~
・・と張り付いたままで、少々進んでもとれるものではない。
亀裂ではなく穴が大きければどうするかって・・?
簡単だ、外から穴にシャツかパンツでも詰め込み、その上からビニルを当てれば良い。
ボートに乗る事のある人はこの護身術、覚えておくといい。
沈む船を眺めているよりはるかにマシだ。




