母の漢詩とグレープフルーツ | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

4月に母の遺言を聞いて以来、11月に久しぶりに訪ねた。

庭のグレープフルーツが見事に鈴なり、画像を撮ろうとすると母が庭に出て来た。


「ほら見てこんな鈴なり~!」
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「手が・・邪魔・・」


「ほら こっちも~!」
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「わかった もういいから」


「ほら こっちのほうがすごいわ~音譜
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「いいと・・言っとるだろうが・・」


「こっちも! こっちも撮りなさいよ」

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「・・ ・・・」


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撮りたくはないが、親孝行で手とグレープフルーツばかり撮ってしまった。

青いグレープフルーツでこれほど笑い楽しめる人も珍しい。

放置していたら成り過ぎただけで摘果する気もない。

昼ご飯を食べ終えると壁の掛け軸が目にとまった。

わけのわからん漢詩が書いてあるので聞いてみたら、グレープフルーツに次いで長い解説が楽しそうに続いた。

それらは難し過ぎて右の耳から左の耳へ抜けて行った。

90歳近い母はフォークダンスだけでなくシビンやコーラスにも通い、ハイキングにも参加する。

文才に恵まれ、若い頃から超達筆で短歌でも県で賞を頂きデカデカと新聞に顔写真も載った。

10年くらい前だったか、たまたま同じ月に朝日新聞に野人の論談と顔写真もカラーで載ったのだが、それを並べて見比べ・・・

「私の方がまだ顔が大きいわね・・」とぼやいていた。

漢詩はてっきり自分で書いたのかと思えば教え子だった台湾の書家にプレゼントされたらしい。


わけが・・わからん
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「ここ・・ここ見なさい」
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「ここ・・左」
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指さす方を見れば・・「大塚松枝先生・・何とかかんとか・・」と書いてある。

庭もそうだったが、迂闊に聞くと話がとても長くなってしまう。


署名の部分をアップで撮っていると・・


「また変なこと本に書いて笑いのネタにするんじゃないでしょうね!」



幾つになっても感だけは鋭く、野人の趣味も熟知している。

本音は滅却しているつもりだが、母の気は野人の弱点を貫いてくる。

毎朝肉食っても平気・・と言う記事を書いている最中にも釘をさす電話がかかってきたくらいだ。


「親を笑いものにするバカタレが何処におる? 絶対本には書かん


ブログとは何か・・を、知らないのが母の弱点だな、パソコンの「付録」と勘違いしている。

いつものように母は「お小遣い」をくれた。

そして言った。


「お金が無くなったら、山で変なものとって食べずにいつでもご飯食べに来なさい」


「・・・ ・・」


母は野人が心配で気力で長生きしている。

それが親孝行かもしれんな・・・

今度焼肉食べに連れて行ってやろう。


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お小遣い・・



母の遺言を聞く

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