この塩を安定供給する為にこの半年間知恵を絞り、装置の開発に費やしたが効果的な方法が浮かんでこない。
資金力の乏しい野人の会社では大がかりな装置は無理で、安定供給は外注しかない。
そこで人を介して製塩施設を持つ人に打診してもらった。
そうしてわかったことは、「完全なミネラルバランスを持つ海水塩」の製造は不可能だと言うことだった。
これには野人も驚いたが納得、よくよく考えればわかることなのだ。
液体時と固体時の釜の温度は極端に異なる。
水分を含む場合と違い、高熱になれば大型の鋳物製の鉄釜は割れてしまう。
家庭で言えば鍋の空炊きのようなものだ。
小さな鍋や土鍋では可能だが、大型で特殊な釜では出来ないから量産も無理だ。
それにそこに至る時点でにがりによって塩の凝固が始まる。
つまり、固まらないよう付きっきりでかき混ぜなければならないのだが、小鍋ならともかく、大がかりな装置ではそれも不可能に近い。
これでは古来日本の製塩法でも商品化は出来ず、市場に完全な塩は出回ったことがないと言うことなのだ。
言い換えれば、古代から人間は「完全な塩」を摂取してはいなかったことになる。
続く・・