ゴキ太郎 最後の晩餐 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

いただきます・・

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ごちそうさま  サイナラ・・・
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野人はゴキブリが大の苦手だ。あやつを見ただけで鳥肌が立ってしまう。毒蛇も海蛇も蜘蛛もトカゲもガマガエルも平気で掴むのだが、ゴキだけは触れない。まあムカデも触れるものはすべて噛み付くから無理だが、無害で触れないのはゴキブリだけだ。ゴキブリが好きな人は滅多にいないだろうが野人は超が付くくらい苦手なのだ。理由は思い当たるフシもないのだが、あえて言うなら脂ぎったところだろう。別名アブラムシだ。

見かけるとほうきなどで退路を断って玄関へ誘導、お外へ退散願っていたのだが、こいつは動きが変だった。

台所へ行くと床にこのゴキがいた。「ゲ・・・」と一瞬ひるんだが、ゴキの逆鱗に触れないように避けて通った。いい加減追い出すのもおっくうだったのだ。しかしさっと逃げないゴキも妙だ。水洗いしながら後ろを振り返ると野人に近付いて来るではないか。

「あ・・あっち・・イケメン・・」と声をかけたが耳を貸さない。野人の足元のワラジのすぐ横に来て流し台の壁に頭をコン・・と付けた。足から這い上がって来ないかと生きた心地がしなかったが仕方ない、たまに、そこから動かないゴキの様子を伺いながら水洗いを続けた。トイレに入って出ようとドアを開けたら・・そこにまた・・このゴキが・・敷居に頭をゴン・・と付けたまま待っていた。ゴキを跨いで、隣の部屋に戻りくつろいでいると、またゴキが・・ヨタヨタ歩いて部屋の敷居にゴン・・と頭を付けた。歩き方からしてどうも異次元への旅立ちは近いようだ。壁も登れそうにない。野人が食いかけていたおかきの粒を30㎝先の足ふきの上に置くとヨタヨタ敷居を超えて入って来て食い始めた。よほど腹が減っていたのだろう、そこから動こうとしない。何度かすぐ横を通って台所を行き来したが、ゴキは逃げようともせず夢中になって食っていた。その食いざまを20㎝の至近距離から撮影したのだがゴキは30分間ひたすら食い続けた。こんな近くでゴキを観察したのは初めてだ。よく見ればヒゲが何となく可愛い。

この野人になついたゴキに「ゴキ太郎」と名付けた。「おい・・」と声をかけると手足をするところはハエ太郎に似ている。次に・・・「ゴキげんよう~!」・・と挨拶した。

しばらく腹ばいになって至近距離でゴキ太郎に付き合ったが、ゴキと遊んだのは初めてだ。さすがに「お手・・」と指をさし出す気にはなれない。ゴキ太郎は満腹になったのかやっと向きを変えた。そして相変わらずヨタ足で台所の自宅に帰って行った。もう一晩ねぐらを提供してやるか・・




ゴキよさらば・・・「ヘミングウェイ・ムー」





翌日・・ ゴキ太郎は 風呂場で大往生していた・・

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南無 ゴキ・・ 短い付き合いだった