山法師の甘味 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

やまぼうし 帽子もないのに何故帽子

つくつく法師~と 蝉もなく

これは万葉の時代に、かの有名な「無~行者」が詠んだ唄だ(笑)。何とも風情に溢れ、魂を揺すり、心に残る歌ではないか・・・万葉集に載らないのは実に惜しい・・

ミズキ科の落葉高木で、ハナミズキの別名はアメリカヤマボウシだから、ヤマボウシは日本ハナミズキとも言える。ヤマボウシは6月にハナミズキに似た白い花を咲かせ、9月には赤い果実をつける。ハナミズキは大きな実はつけないが、飴玉大のヤマボウシの実は甘くて美味しい。表面は赤くても中は黄色くてマンゴーのようだが、皮は砂糖をまぶしたような素朴な甘味だ。この実を食べると秋の訪れ、中旬にはシバグリ、10月にはアケビやムベやサルナシが食べ頃になる。ヤマボウシは庭木としても重宝されているが、野人の近くの山にはたくさん自生している。「山法師」の名前は、 中央の丸い花穂を坊主頭に、 周囲の白い花びらを白頭巾に見立て、 比叡山の「山法師」になぞらえたらしい。実の表面のぶつぶつがクワの実に似ているところからヤマグワと言う別名もある。実はぼそぼそしてはいるが、キイチゴやクワのように液果ではないので、もっと市場に流通しても良いのではなかろうか。栽培果実ばかりだけではなく、自然の木の実をもっと食べたほうが良い。木の実は「食の原点」なのだ。人は何万年も木の実を採取して食べて命を繋いで来た。本来の甘さとは何か、原点に戻って確かめて見ると良い。ケーキやお菓子が身体に良いとは聞いたことがない。旨いのだが人工甘味には変わりない。魚介は別にして、陸の食材では木の実や山菜が唯一「自然食」と言えるものではないだろうか。