スイミン愚物語 ウォーたあボーイズ4 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

女性司会者が叫んだ。

「あ!キャプテンがウォーターボーイズに取り囲まれました!」

「先ほどのお返しにロープでがんじがらめにされるようです!」

「皆に聞けば、キャプテンは伊賀忍者の末裔で、関節外しや縄抜けが得意なようですが、まだ誰も見たことがないとの事です。今日、それが見られるのでしょうか~!」

立ったままの状態で、首に縄がかけられ、ボーイズ3人が体中グルグル巻きにし始めた。足首までしっかりと30回以上縄を巻かれてミイラ男みたいになってしまった。お世辞にもSMショーのように芸術的な縛られ方とは言えない。腰にはウェットスーツの3キロのウェイトベルトが縄の上から巻かれた。身動きできない状態で横にされ、いよいよ水中に放り込まれる時間だ。司会者は喋り捲る。

「さあ、引田天功顔負けの脱出ショーが始まります!しかも水中です。種も仕掛けもないし、仕掛けのしようもありません。やったこともリハーサルもなく大丈夫でしょうか?」

放り込まれる飛び板飛び込みの真下の水深は3mだ。そこだけ円形で、そこから水深1mの遊泳プールが20m続く。この状態からどうやって脱出するのか誰も想像出来ないが、司会者の言葉どおり「関節を外して縄抜け」するしかないようだ。

ボーイズの一人が、「船長・・1分して上がって来なかったら僕ら飛び込みますから」と言うので、「あ~・・その心配は無用、浅いほうのプールで待っとれ~」と答えた。

やがて3人に持ち上げられ、「せえ~の!」の掛け声と供にプールに放り投げられた。「ザップ~ン!」と言う音がしてそのまま水底へ沈んだ。首から足首までロープでガチガチに縛られ、身動出来ないのに縄抜けなど出来るはずがない。「縄抜けする」とは一言も言ってはいない。水底に横になったまま30秒以上息を止めていた。あまり早く上がると面白くない、みな「縄抜け」を期待している。上では盛り上げる為に司会者が相変わらずキャーキャー騒いでいる。それが仕事なのだ。やがて司会者の金切り声が、また聞こえた。

「ア~!ひえ~!チョンボチョンボ!キャプテンが泳いでいます!縛られたまま・・」

「しかしこれは・・何と言う泳ぎでしょうか? イモムシみたいに~~!クネクネ・・」

体は動かないから底を蹴ってドルフィンキックで水上へ、そのまま浅いほうへ背面ドルフィンキックで泳いだのだ。泳ぐのに手足が自由に動く必要はない。腰と膝の関節が曲がればそれで十分だ。客からは安堵と感動と驚きの歓声と笑いが渦巻き、拍手が起こった。浅いプールに立って、見覚えのあるお客様達にご挨拶をした。ウォーターボーイズが集まり、縄をほどいて第2部の水中脱出ショーは無事に完了、続いて第3部の準備に入った。深いほうのプールサイドにはスキューバのセットが準備され、司会者の内容説明が始まった。